最近、パソコンやスマートフォンの普及により、自ら字を書く機会はめっきり減少してきました。その影響からか、「読めるけれども、いざ書こうとすると書けない漢字」が増えていませんか? 以前はすらすらと書けていたのに、と書く力が衰えたと実感することもありますよね。
動画を見ながら漢字の読み書きをすることで、脳のトレーニングとなります。また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。
「脳トレ漢字」第20回目は、「坩堝」をご紹介します。漢字検定一級に当たる漢字です。
脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。
■「坩堝」はなんと読む?
「坩堝」という漢字、読み方に心当たりはありますか? 「人種の坩堝」という言い回しで耳にすることが多い言葉ですが……
正解は……
「るつぼ」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、
①「中に物質を入れて加熱し、加工をするための耐熱性の容器」
②「熱狂的な興奮に沸いている状態」
③「種々のものが混じり合っている状態や場所」
という3つの意味を持つ言葉として紹介されています。ちなみに、「かんか」というもう一つの読み方もあります。
■「坩堝」の漢字の由来とは?
「坩堝」を構成する漢字を一文字ずつ見ていきましょう。「坩」は「土器のつぼ」のことを指します。そして「堝」は「金属を溶かす時に用いられるつぼ」のことです。どちらの漢字も「耐熱性の容器」という意味を持っていることが分かります。「坩」と「堝」は漢字単位で「つぼ・るつぼ」と読むことができるため、「坩堝」という熟語は同じ意味・似た意味の漢字を組み合わせたものだと言えます。
■「人種の坩堝」は「人種のサラダボウル」に変更?
「様々なものが混ざっている状態」を表す「坩堝」は、その中で金属を溶解・混合することをたとえた意味です。特に多民族が混在するアメリカ社会を「人種の坩堝」と表現したことから広がりました。しかし、「坩堝」では「人種が溶けて混ざり合う」というニュアンスから、均一化され人種的個性をなくしているような表現だと指摘されました。それを受けて、新たに「サラダボウル」という考えが登場。サラダボウル内の野菜が個性を失わないことになぞらえて、個々の人種がありのままでいる「人種のサラダボウル」という表現が用いられることが多くなりました。
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いかがでしたか? 今回の「坩堝」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 時代の流れとともに、言葉の捉え方が変化していくことが見て取れますね。
来週もお楽しみに。
文/豊田莉子(京都メディアライン)
アニメーション/貝阿彌俊彦(京都メディアライン)
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