取材・文/ふじのあやこ

家族との関係を娘目線で振り返る本連載。幼少期、思春期を経て、親に感じていた気持ちを探ります。(~その1~はコチラ

今回お話を伺ったのは、3児の母親で、現在は専業主婦として都内の郊外にある一軒家で旦那さまとともに暮らしている百合香さん(仮名・39歳)。鳥取県出身で、両親と4歳下に弟のいる4人家族。仕事が忙しい父親は休みの日には家族に料理を振る舞うなど家族サービスもバッチリ。家族仲も両親の夫婦仲も良好だった中、17歳の時に父親が義父だったことを伝えられます。直後の感情は何もなかったそうですが、徐々に嘘をつかれ続けていたという思いが巡ってきたとのこと。

「直後は自分のことじゃないような感覚があって、受け入れないといけないという思いでいっぱいだった気がします。それが徐々に考える時間を持つと、17年間も教えてもらえなかったことが嘘をつかれ続けていたと思うようになっていって……。誰にも相談できずに、この思いは隠さないといけない、いつも通り過ごさないといけないと常に“普通”を意識していました」

実際に子を産み、離婚後に出産した母親の話が聞きたくなった

高校卒業後に調理系の専門学校へ進学。1年後に兵庫県内にある飲食店で勤め始めます。そこで現在の旦那さまと出会い、24歳の時に結婚します。

「夫は7歳年上で、勤め先の先輩でした。結婚を決めた理由は、この人だから!といったロマンチックなものではなく、倹約家で堅実に夢を叶えていくタイプだったので結婚を現実的なものとして想像できたことかな。24歳は当時でもまだ早いほうで、両親はびっくりしていました。その頃には義父という事実もそこまで気にしていなかったと思います。結婚まではそのまま実家で暮らしていましたし、両親とも普通に会話もしていました。あの話も17歳の時に話してくれたこと以外に両親も話すことはなかったし、私も聞くことはありませんでした」

結婚生活2年目で百合香さんは第一子を出産。我が子の誕生は喜びしかなく、年上の旦那さまも積極的に育児に参加してくれたとか。そのタイミングで離婚を選択した母親のことを聞きたくなったと言います。

「妊娠してからは、仕事をやめるなどの環境の変化、そして体や気持ちなどの変化があり、もうそのことだけでいっぱいいっぱいでした。でも、どんなに辛くてもこの子をちゃんと産みたいという思いがあった。子どもが生まれてからは産後の体調が悪くて思うようにできない自分にイライラしたこともありましたが、その分を夫は助けてくれました。もちろん母親や義母も助けてくれて、一人では乗り越えられなかったと思います。子育てもまだまだ大変だったんですが少し気持ちの余裕が出てきた時に、ふと母親は一人でどうやってこの時を乗り越えたんだろうって聞きたくなったんですよね」

【次ページに続きます】

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