生まれてくることを誰よりも楽しみにしてくれていたのは父親

百合香さんは、世話をしに来てくれていた母親に初めて今の父との馴れ初めを聞きます。そこで父親の愛情深さを知ったと振り返ります。

「母親には思っていることを正直に伝えました。私はみんなの協力があってやっと子育てができているのに、母親は夫がいない状態でどうだったのかと。そしたら母親は友人として父親が側にいたと言いました。父と母は母が結婚する前から友人関係で、母親は当時付き合っていた実父との妊娠がわかり、当時はできちゃった婚を大っぴらにできなくて考える暇もなくすぐに籍を入れたと。しかしお互いが結婚したいという思いを持つ前の結婚だったためにすぐに離婚することになったそうです。そこで手を差し伸べたのが父親だったと。なんとなく父親はずっと前から母のことが好きだったんだろうけど。父親は私が生まれた時には泣いて喜んでくれたと言っていました。父親は最初から血のことなどまったく気にしていなかったんですよね。17年も嘘をつかれたと思っていた自分が恥ずかしくなりました」

その後、旦那さまの仕事の都合で都内に引っ越し、そこで二子、三子を出産します。物理的な距離もあり、現在も父親とそのことを話すことはないそうですが、前のように考えて発言することはなくなったそう。

「どこの家族も娘は父親よりも母親とのほうが仲良しですよね。大人になればなるほどそこまで話すこともないですし。母親とはたまに電話で連絡を取り合っていて、その時にお互いの夫のことを話すぐらいでしょうか。私のところは男の子3人で一番上の子が大きくなるまでは毎日が戦争のように子育てに必死でした。そんな時に女の子が欲しかったと両親の前で言ったことがあるんですが、父親が『女の子は多感な時期が長くて大変』と私のことを言うんです。まったく遠慮がないなって感じて、変だけどそのことが嬉しく思えて。遠慮していたのは私だけだったんだなって痛感しています」

最後に、大人になってから伝えられたほうが良かったのか聞いてみました。

「私はその事実がわかる年齢で教えてもらいたかったです。大人になってからだと色々考えることができてしまう分、こちらもうまく嘘がつけるんですよ。小さい頃に話してもらえたほうが親にぶつけることができたのかなって私は思います」

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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