新型コロナウイルスによって、「オフィス不要論」に関する記事や報道を目にする機会も増えています。新型コロナウイルス感染拡大防止対策として、急速にテレワークを導入する企業が増え、「本当にオフィスって必要なのか?」と、疑問を抱き始めた方もいるでしょう。
株式会社ゼニス(東京都港区)が、小規模の個人事業主、従業員数5名以下の企業の経営者を対象に、オフィスに関する調査を実施して、その結果を公開していますのでご紹介しましょう。
■新型コロナウイルスによって6割以上の方が働き方に変化が起きたと回答!どのような変化が起きたのか!
「新型コロナウイルスによって現在の働き方に変化が起きましたか?」と質問したところ、6割以上の方が『はい(61.6%)』と回答しています。具体的にどのような変化が起きたのでしょう。
▷新型コロナウイルスで働き方にこんな変化が起きた
・オフィスではなく在宅勤務が主流となった(20代/女性/東京都)
・時間短縮やマスク着用必須となった(30代/女性/東京都)
・オフィスではなく自宅勤務推奨になった(30代/男性/神奈川県)
・ノートパソコンを持ち歩き出来るだけリモートを行うようになった(40代/男性/千葉県)
・2カ月間、週3勤務だった(40代/女性/兵庫県)
などの回答になっています。
■これからの時代オフィスは不要?必要?
新型コロナウイルスによって、今までのオフィスで働くスタイルから、自宅やカフェなどで働くテレワークというスタイルが広がっています。
そこで「働き方が変わる中でオフィスは必要だと思いますか?」と質問してみたところ、4割の方が『不要(40.0%)』と回答しています。
テレワークといった働き方が浸透していく中で、オフィスが必要ではないと感じている小規模の個人事業主や経営者も少なくはないようです。では、どのような理由からオフィスが不要であると感じているのでしょう。
▷オフィスが不要だと思う理由は?
・コロナ禍において、必ずしもオフィスは必要不可欠なものであるとは言えない(20代/男性/埼玉県)
・テレワークでも充分に働けるとわかったから(30代/女性/愛知県)
・ネットがあればいい(40代/男性/大分県)
・自宅でもオフィスとして利用できるから(40代/女性/大阪府)
などの回答結果となりました。
▷オフィスが在ることでのメリット・デメリットがそれぞれ判明!
先程の調査で、オフィスが不要である理由が明らかになりました。では、オフィスが在ることでのメリット・デメリットは、どのようなことが挙げられるのでしょうか?
そこで、まず「オフィスがあることでのメリットを教えてください(複数回答可)」と質問したところ…、
・コミュニケーションの場となる(49.4%)
・作業場所の確保(36.8%)
・会議や打ち合わせ場所となる(30.2%)
・法人登記のための住所がある(24.5%)
・企業理念や企業文化の醸成(17.1%)
・法人口座の開設がしやすい(15.3%)
という回答が出てきました。
この回答から、オフィスが社員同士のコミュニケーションの場として意識され、機能していることがわかります。また、作業や会議のための場として機能していることもわかります。
そういった意味では、オフィスは必要であるのかもしれません。
では、一方でオフィスがあることでのデメリットとは何が挙げられるのでしょうか?
「オフィスがあることでのデメリットを教えてください(複数回答可)」と質問したところ、
・コストが発生する(48.8%)
・通勤の手間が発生する(48.1%)
・勤務地が制限される(28.5%)
・職場の人間関係に悩まされる(26.6%)
・生産性を下げる要因が多い(9.6%)
という回答になっています。
この回答から、小規模の個人事業主や従業員数5名以下の企業では、収益性を考えるとオフィスのコストについて大きなデメリットと考えていることがわかります。また、働く場所は在るものの、通勤の手間が発生することもデメリットだと感じているようです。
■実際にオフィスを廃止する場合、オフィスに代わるモノとして何を検討するのか?
では、実際にオフィスを持たず、オフィスを廃止した場合にオフィスに代わるモノとして何を検討しているかについて質問しています。現在、 実際のオフィスの場所を必要としないまま事務所としての住所や登記などの機能を実現できるバーチャルオフィスを検討している方はどのくらいいるのでしょうか?
「オフィスの代わりにバーチャルオフィスを検討するようになりましたか?」と質問したところ、3割以上の方が『はい(34.4%)』と回答しています。この回答から、3人に1人の小規模の個人事業主や経営者が、バーチャルオフィスを検討していることが見えてきました。
▷バーチャルオフィスを導入する際、重視したいことは?
「バーチャルオフィスを導入する際、重視したいことを教えてください(複数回答可)」と質問したところ、
・料金が安い(49.2%)
・セキュリティ面で安心できる(43.8%)
・法人登記可能な住所である(33.9%)
・法人口座の開設が可能(28.8%)
・会議室やレンタルスペースが使える(15.8%)
・電話・秘書代行があるか(13.7%)
という回答になっています。
小規模の個人事業主や従業員数5名以下の企業にとっては、これからオフィスがバーチャルオフィスに変わっていくのかもしれませんね。
調査の最後に、これからの時代どのような働き方が推奨されていくのかを聞いてみると
・自分の都合でできる仕事(20代/女性/埼玉県)
・通勤、オフィスなどの概念に囚われない働き方(30代/男性/石川県)
・場所を選ばない働き方(30代/男性/神奈川県)
・どこでも仕事ができるような環境づくりがベースにあっての場所を選ばない働き方(50代/男性/熊本県)
という回答が得られました。
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新型コロナウイルス感染症の拡大によって、多くの人の働き方に変化が起き、多種多様な働き方をする人が増えていく中で、オフィスに対する考え方も大きく変わろうとしています。
オフィスが必要か不必要かという議論もあるでしょうが、「オフィスとは何か?」「オフィスとは何をする所か」ということは真剣に考えてみるべきなのかもしれません。もしかしたら、今回の調査結果以上に「オフィスが不要」という経営者が増えて、バーチャルオフィスを導入する企業が増えていくかもしれません。新型コロナウイルス感染症が完全に鎮静化した社会において、「オフィス」はどうなっているのでしょうか?
今、私たちが考えている「オフィス」への概念が大きく変わっていることだけは確かなようです。
アンケートモニター提供元:ゼネラルリサーチ
調査概要:オフィスに関する調査
【調査日】2020年8月21日(金)
【調査方法】インターネット調査
【調査人数】1,143人
【調査対象】小規模の個人事業主、従業員数5名以下の企業の経営者
【モニター提供元】ゼネラルリサーチ