今年は三重の伊勢神宮と島根の出雲大社、二つの遷宮が重なった年でした。出雲地方では神々が集まる旧暦10月は「神在月(かみありづき)」と呼ばれ、今年は11月12日夕刻~19日の夕刻にあたります。新しい社での大集合に神々もことのほか、喜ばれることでしょう。神在祭では多くの行事が行なわれ、様々なご縁を願う人々でにぎわいます。
遷宮参りの後にはぜひ、日本最古の歴史を持つ玉造温泉へ出かけましょう。『出雲風土記』(733年)には、「ひとたび濯げば形容端正しく、再び浴すれば万の病ことごとくに除こる」とあり、肌がすべすべになり万病に効く「神の湯」として知られていたとあります。江戸時代には松江藩主も湯浴みに訪れ、今も出雲の名湯とされています。
温泉街には3か所の足湯のほかに、源泉を持ち帰ることができる湯薬師広場「たらい湯」もあります。専用のボトル(200円)に入れた源泉を顔などに吹きかけると保湿効果が持続、太古からの美肌の湯を実感できます。旅館では、冬の味覚・松葉ガニなど豊富な料理も味わえ、美食も堪能できます。
星野リゾート 界 出雲
島根県松江市玉湯町玉造1237
取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。