宮城県蔵王町、蔵王連峰の東麓に位置する遠刈田(とおがった)温泉。冬季閉鎖中だった蔵王エコーラインも開通し、いよいよ春本番です。5月にはこの蔵王エコーラインを舞台に自転車のロードレースも行われます。
標高330mの高原に湧くこの温泉は、約400年前の慶長年間に、岩崎山の金を掘って財を成した金商人が霊泉を発見したのが始まりと伝えられています。蔵王登山の基地として、湯治場として知られてきました。
現在は、湯治宿の面影を残す小さな宿や、大型のホテル、リゾートタイプの宿などさまざまです。温泉街には青森ヒバを用いた浴槽がある「神の湯」と、地元客が多い「壽の湯」の2つの共同浴場があり、泉質はナトリウム・カルシウム・硫酸塩‐塩化物泉。神経痛などに効能が高く、良くあたたまります。
近隣の青根温泉、峩々(がが)温泉との共通の湯めぐりチケットがあり、立ち寄り湯可能な宿を梯子することができます。新緑の中、宮城蔵王の名湯を堪能したいものです(写真は「温泉山荘 だいこんの花」)。
取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。