プリで評判のリゾートホテル「メイファ・ヘリテージ」。

プリで評判のリゾートホテル「メイファ・ヘリテージ」。

旅ライターの白石あづささんが訪れたのは、インド・オリッサ州のリゾート地「プリ」。今回は、世界最古の日本人宿といわれるサンタナ・ロッジから、プリで一番、評判のいい高級ホテル「メイファ・ヘリテージ」へと移ります。ホテル自慢の天才料理人とスパイシーな魚介料理の数々を紹介します。<前の記事を読む>

プリに来てから2泊お世話になったサンタナ・ロッジ。ちょうど閑散期でオーナーさんは日本にちょうど出張中だったのですが、代わりに宿の管理を任されていた旅人のYさんに早朝の海に連れていってもらったり、ホテルに出入りしているインド人のNさんの家でエビカレーを作ったりと、アットホームなもてなしを受けました。

素敵なゲストハウスで離れがたかったのですが、オリッサによく滞在する人から、「魚介を使ったオリッサ料理を堪能するなら、プリで一番人気のある高級ホテル、メイファ・ヘリテージがおすすめ」と教えてもらったのです。

お世話になったYさんにお礼を述べ、リキシャで約10分ほどのメイファまで向かいました。 ホテルのゲートに到着すると、南フランスの邸宅によばれたかのようなクラシックな石の階段が見えました。金ぴかでマハラジャ感のあるインドの高級ホテルとはちょっと違って、フロントも落ち着いています。

 

メイファ・ヘリテージのエントランス。

メイファ・ヘリテージのエントランス。

海に面した2階建てのロッジの1階に案内されましたが、バスタブもあり専用のテラスと海の見える共用のテラスがあり、「これで3つ星ホテル?」と驚くほど部屋も広く高級感があり、くつろぐには十分な設備が整っています。

広々とした使い勝手のいい部屋。

広々とした使い勝手のいい部屋。

プールも清潔で気持ちがいい。

プールも清潔で気持ちがいい。

夕方にテラスでお茶をする人も。

夕方にテラスでお茶をする人も。

館内を探索しようとうろうろしていると、支配人のサンジーブ・クマール・パットナイクさんが声をかけてきました。

「日本人はあまり来ないんだけど、たまに日本の仏教グループが泊まりにきてくれるんですよ。このあたりには、仏教遺跡も多いから。うちは1992年から営業しているプリでは一番、素敵なホテル。ごはんはおいしいし、特に朝の海水浴は気持ちがいい。シライシさんは、早起きは苦手ですか?」

気さくな支配人、サンジーブさん。

気さくな支配人、サンジーブさん。

「ええ、とっても苦手です」と答えたものの、「がんばって早起きして、泳いでください」と笑われました。

魚介を堪能! オリッサ料理に舌鼓

少し遅めのお昼をいただこうと、フロントでおすすめのレストランを聞くと、路地を挟んで向かい側にある同系列のホテル「メイファ・ウェーブ」のレストランをすすめられました。プールサイドにテーブルが用意されており、海を見ながら食べられます。メニューを開いてもよくわからないので、シェフおすすめの料理をお願いしました。さあ、何が出てくるのでしょうか。

プールサイドで涼みながらランチタイム。

プールサイドで涼みながらランチタイム。

最初に登場したのは、「ダヒ・ポカラ」というハーブが効いたチーズ入りのライス・スープ。チーズと米と聞いて重いスープなのかと思ったのですが、酸味もあり、あっさりとしています。聞けばオリッサの郷土料理をアレンジしたものなのだとか。

次にコリアンダーと刻んだ玉ねぎ、レモンで味付けした小魚を、カラリと揚げた「チョナ・マチャ・バァジャ」が出てきました。ひとつ、つまんで口に入れてみれば、カリッとしてスパイシー。インドで女性がビールを飲むのは、はしたないこととされているけれど、こんなにおいしいものを出されては仕方ありません。

スパイシーなチョナ・マチャ・バァジャ 。

スパイシーなチョナ・マチャ・バァジャ 。

続いて大好きなエビ料理が運ばれてきました。「チングリ・バァジャ」という、揚げてからマリネにして、さらにチリなどのスパイスを入れて焼くという手の込んだ料理です。バァジャというのはオリッサの言葉でフライ、チングリはエビという意味だそうです。ジューシーで柔らかく、白いご飯がほしくなる味です。

手が込んでいるチングリ・バァジャ。

手が込んでいるチングリ・バァジャ。

「ああ、エビは最高!」とチングリ・バァジャをぱくぱくと食べていると、「日本の姉さん、いい食べっぷり!」と、ウェイターのお兄さんが感心して、「ちょっと待ってな、俺のおすすめを料理長に頼んでみてあげるよ」と持ってきてくれたのが、「チングリ・アルー・タルカリー」。おお、昨日、自分でも作ってみたエビカレーではありませんか。

エビカレーの最高峰? チングリ・アルー・タルカリー。

エビカレーの最高峰? チングリ・アルー・タルカリー。

いや、しかし、一流シェフが作ったエビカレーは、まるで別世界。辛いけれど、甘味も酸味も絶秒で、エビのエキスを吸い込んだポテトもほくほく。優しく幸せな味がして、涙が出そうなくらい、おいしいのです。

そしていよいよ料理長オリジナルのメインディッシュの「スタッフド・タワ・フライド・フィッシュ」が運ばれてきました。目の前の海でとれた魚の骨を取り、腹にミントやショウガ、チリやニンニクを詰めて焼いたものだそうです。魚のまわりはカレー粉をまぶして一度、揚げてあるそう。腹に挟んだスパイスを皿に添えて、辛さを調節できるようにしている心遣いが嬉しいです。

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スタッフド・タワ・フライド・フィッシュ。

スタッフド・タワ・フライド・フィッシュ。

よく見るとおなかにミントがぎっしり ピリ辛なマッシュポテトである「アルーチョカ」、ホウレンソウを炒めた「サガムガ」、ナツメヤシと煮た少し甘味のあるトマトの煮込み、スパイスを絡め揚げた玉ねぎが添えてあります。その4つの付け合わせと合わせることで、魚の味の変化が楽しめます。 「デリシャス!」「アメージング!」「ワンダフル!」と絶賛しながら、もりもりと食べていたら、ウェイターさんが、「よく食う日本人がいる」とでも伝えたのでしょうか、料理長がこちらに歩いてきます。

天才料理人スリャ・ナラーン・ナエルさん

ちょうど、お昼のお客さんが途切れたそうで、総料理長のスリャ・ナラーン・ナエルさんが一人で訪れた私にあいさつにきてくれました。一人で大量の料理を平らげた私に料理長は「日本の人にもオリッサ料理を味わってもらえてうれしい」と感激した様子。新メニューを開発したり、ホテルの調理人45人を指揮しているそうです。

総料理長のスリャ・ナラーン・ナエルさん。

総料理長のスリャ・ナラーン・ナエルさん。

「どれも、オリッサの食材を使って、伝統的な調理法で作っているのです。もちろん、アレンジはしていますが、辛すぎず優しい味でしょう?」と微笑みます。大きくうなずきながら、「インドで食べた料理のなかで一番、おいしい。どこで修行したのですか?」と握手を求めると、はにかみながら半生を話してくれました。 ナエルさんが、料理を始めたのは16歳のとき。プリから200キロ離れたヒンジュリカで母親の料理の手伝いをしているうちに料理が好きになり、25歳の時、ボンペイの高級ホテルのレストランで働くことに。

オリッサの郷土料理をアレンジした食べやすい味。

オリッサの郷土料理をアレンジした食べやすい味。

「そのうち、同じ系列のホテルに派遣されてイエメンやシンガポールなどにも行きました。タイやモルジブの料理、コンチネンタルフードなど、本格的に勉強しているうちに、こちらのホテルのオープニングに総料理長として呼ばれたのです。プリではシーフードが豊富なので、内陸から来るインド人は食べることを楽しみにしてきてくれるんです」

ええ、私は魚介が豊富な日本から来ましたが、それでもここの魚介料理は最高でした。今までの辛さが強い北インドの料理と違って、とても重厚で一品でいろいろな味を楽しめて大満足。おかげで、ビールもついすすんでしまいました。

「ははは。今日はオリッサの郷土料理風をお出ししましたが、普段はあまりこだわらず、南インドの味や中東、欧米風など、さまざまな味にチャレンジしているんですよ。インドは広いので、地域によって味が違う。野菜もたくさん使っているしヘルシーです。日本人の方も、気軽に楽しんでほしいですね」

子供も喜ぶ? 船型のテーブルも。

子供も喜ぶ? 船型のテーブルも。

「ではまた夜に」とお辞儀をして、颯爽と去っていく料理長。ホテルも素敵ですが、お料理だけランチに食べにきてもいいかもしれません。次回は、プリの観光地をめぐります。

取材・文/白石あづさ
旅ライター。地域紙の記者を経て、約3年間の世界旅行へ。帰国後フリーに。著書に旅先で遭遇した変なおじさんたちを取り上げた『世界のへんなおじさん』(小学館)。市場好きが高じて築地に引っ越し、うまい魚と酒三昧の日々を送っている。

取材協力:
エア インディア http://www.airindia.in/(英語サイト)
ロータストランストラベル http://www.lotustranstravels.com/(英語サイト)

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