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もち粉をこねて黒糖などで味付けし、月桃の葉で巻いて蒸したムーチー。

今シーズンの沖縄は、エルニーニョの影響で異常気象が続いている。先月(12月)は冬真っ盛りだというのに気温がぐんぐん上昇。夏日になって冷房を入れた日もあったほどだ。こんな気候を体験したら、沖縄は常夏の島だと思ってしまう人も多いだろう。

例年、沖縄の冬は北風が強く、最高気温が18℃くらいでも実際にはもっと寒く感じる。つまり、体感温度が低いのだ。年末近くになると、「今日は寒いね〜」が挨拶代わりの言葉になる。

冬至のことを、沖縄では「トゥンジービーサ」と呼ぶ。「トゥンジー」=冬至、「ビーサ」=寒さの意味だ。さらに、旧暦の12月8日(2016年は1月17日)は、「ムーチービーサ」といわれる1年を通じて最も寒い日である。

沖縄では冬至に「ムーチー」(餅)を作って神仏に供え、悪鬼悪霊の退散を祈る。ゆえに、「鬼ムーチー」と呼ぶこともある。そして厄を払って、子供の成長や健康を願う。子供の歳の数のムーチーをすだれ状に編んで、軒先や柱に吊るしておく習慣もある。

餅といっても、蒸したもち米をついて作るのではなく、もち粉を使う。黒糖や裏ごしした紅芋などを加えることもあるが、平たい長方形にして、サンニンの葉で包んで蒸す。葉は「カーサ」なので、「カーサムーチー」ともいう。

サンニンは庭先や歩道脇でよく見かけるショウガ科の植物で、別名は月桃。葉には防虫・防カビ・防菌といった効果があり、シナモンに似た甘い香りがする。蒸すことで、ほのかにスパイシーな甘い香りが移り、南国らしい素朴な味わいの餅ができあがる。 

ムーチー2_s

市場で売られている「ムーチー」。

 ムーチーの季節は、まさに寒さのピーク。沖縄の寒さは、もうしばらく続く。

写真・文/鳥居美砂(とりい・みさ)
兵庫県生まれ。月刊誌『サライ』記者として20年以上、取材を続ける。2004年から東京〜沖縄を往来する暮らしを始め、2015年末に本拠地を沖縄・那覇に移す。沖縄に関する著書に『沖縄時間 美ら島暮らしは、でーじ上等』(PHP研究所)。

 

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