文・画/北村さゆり

「古代東海道」というものがあったことを、私は『サライ』誌の連載「半島をゆく」の取材で初めて知った。

同連載「房総半島編」の取材では、久里浜港(横須賀市)〜金谷港(富津市)を東京湾フェリーで渡った。この体験取材の効果は私にとっては絶大で、俄然、古代が身近に思えるようになった。三浦半島の走水は、まさにこのルートの上にある。

さて、この走り書きは、走水神社から東京湾を望むスケッチのつもり。見上げる程長い階段を登った拝殿を背に階段を見下ろすように描いた。

走水神社から望む東京湾 画/北村さゆり

「ハシリミズ」という響きもあって、背の高い石灯籠が道標で、二つの鳥居を潜り東京湾を渡る滑走路のように見えた。

画/北村さゆり

日本武尊(ヤマトタケルノミコト)とそのお后の弟橘媛尊(オトタチバナヒメノミコト)が上総国へ船出した際、荒波に遭い、弟橘媛尊が自ら身を投げて海の神を沈めたという。英雄のピンチを救った妻。御利益がありそうだし、人気のパワースポットなのも頷ける。

拝殿を南奥へ進んで東京湾を見渡すと、広い海上に働く人を発見した。海苔の養殖場らしい。新緑と潮風のさわやかな初夏。静かな海に船が行き交う。

※北村さゆりさんが描きおろした「走水神社から望む東京湾」の絵は、『サライ』10月号に掲載されています。


文・画/北村さゆり
昭和35年、静岡県生まれ。日本画家。『利休にたずねよ』『三鬼』など小説の挿絵も担当。著書に『中世ふしぎ絵巻』など。

http://kitamurasayuri.jp/profile

 

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