文/杉﨑行恭 写真/坪内政美
廃線となった旅客線や森林鉄道などを一部の区間で復活し、車両を動態(走れる状態)で保存している鉄道を「保存鉄道」という。今ではなかなかお目にかかれない懐かしい車両が、いまも現役で走っているのだ。そしてもちろん、乗ることができる。
そんな男心をくすぐる全国の保存鉄道の中から、いくつか選んでご紹介しよう。あなたもこれらの鉄道へ乗りに、出かけてみませんか?
※以下の記載は小学館SJムック『保存鉄道に乗ろう』(平成24年6月刊)からの転載記事です。転載にあたり構成や文章を一部改めました。写真は初出当時のものです。最新情報については公式サイトにてご確認ください。
■やながわ希望の森公園の蒸気機関車さくら1号(福島県伊達市)
桜の名所として知られる「やながわ希望の森公園」には、福島盆地を見おろす場所に2000本もの桜が植えられている。この公園西口( 阿武隈急行やながわ希望の森公園前駅に接続)と東口の間、約800mを結ぶのが「さくら1号」と名付けられた蒸気機関車だ。
軌間は762mmの森林鉄道サイズだが、走るのは地元の福島県内にあって、今や国内唯一の蒸気機関車メーカー・協三工業製のBタンクが蒸気を噴き上げて活躍している。
開業した昭和62年(1987)年4月18日にちなみ、「B62-418」というプレートを掲げた蒸気機関車は、3両の客車を従え、山際の曲がりくねった線路を軽快に走る。
鉄道ファンにとって注目すべきことは、両端の駅に転車台があること。毎回、転回と機回し(機関車を客車先頭に連結すること)を見ることができる。
東日本大震災があった平成23年(2011)年も、3か月後の6月4日に運転を再開。煙とともに気を吐いた。風評被害で来園者の減少に悩むだけに、ぜひとも訪れたい本格派の軽便蒸気鉄道だ。
【施設情報】
『やながわ希望の森公園』
福島県伊達市梁川町字内山1
営業時間:入園自由
阿武隈急行やながわ希望の森公園前駅から徒歩約10分。
車の場合は東北中央自動車道国見ICから約20分。
【公式ページ】
http://www.date-shi.jp/2176
文/杉﨑行恭 写真/坪内政美
※以下の記載は小学館SJムック『保存鉄道に乗ろう』からの転載記事です。転載にあたり構成や文章を一部改めました。最新情報については各公式サイトでご確認ください。