北アルプスを望む岐阜県の奥飛騨温泉郷は平湯、福地、新平湯、栃尾、新穂高の5つの温泉地で形成されています。広大な露天風呂や、山里の秘境の趣のある素朴な湯など、それぞれに特徴のある温泉地です。
春の桜、夏の新緑、秋の紅葉。そして冬は雪見という厳寒地ならではの魅力が堪能できます。山々が白銀に染まるこの時期、奥飛騨温泉郷では様々なイベントが用意され、幻想的な世界が展開します。
新平湯温泉では凍てついた「たるまの滝」のライトアップ、栃尾温泉では華麗なイルミネーション、さらに新穂高温泉の中尾地区では「中尾かまくらまつり」が2月1日~14日の毎夜開かれます。
かまくらは大人が十分に入れるほどの大きさで、なかには囲炉裏が設置されたものや、地酒を振る舞うバーもあります。かまくらの中は、思ったほど寒くなく温かみさえ感じます。まさに雪国で体験する非日常の空間です。
奥飛騨の冬を遊んで楽しんだあとには、温かい温泉が待っています。活火山・焼岳がもたらす豊富で濃厚な温泉で体の芯からホッとできます。
取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。