京都府宮津市にある天橋立は宮城の松島、広島の宮島と並ぶ日本三景のひとつです。天橋立とは宮津湾と内海を南北に隔てる砂洲のことで、全長は約36m、一帯には松林が茂りまさに白砂青松の美しさを見せています。
「丹後国風土記逸文」によると、イザナキノミコトが天に通うために造った梯子が、寝ている間に倒れて今の姿になったのが、名前の起こりとあります。文殊山山頂にある天橋立ビューランドから一望すると、龍が天に昇っていくように見えます。緑が鮮やかな時期もいいのですが、雪景色はいっそう幻想的です。
もうひとつの見どころが「三人よれば文殊の知恵」で親しまれている天橋立智恩寺本堂の文殊堂です。文殊菩薩を本尊とし、受験シーズンには多くの参拝客で賑わいます。
知恵を授かったあとには、北近畿タンゴ鉄道の天橋立駅構内にある温泉で、ゆっくり体を温めはいかがでしょうか。塩化物泉の良く温まる温泉で、しっとりと肌を包みこみます。知恵の輪を模った湯口も、何だかご利益がありそうですね。
そうそう、この時期は蟹や鰤など、日本海の味覚もぜひ味わってください(写真は天橋立温泉と智恩寺)。
取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。