寒さが身にしみる季節ともなれば、温泉宿でゆったりと寛(くつろ)ぎたい。湯質のよさはもとより、今宵は“暖炉の炎”を眺め癒やされて、読書と酒、音楽にどっぷりと浸る、そんな宿へいざ。
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ゆらぐ炎を眺め杯が進む
旅の疲れが解けてゆく居心地のいいバー
箱根小涌谷(神奈川県)の谷間に位置する『bar hotel 箱根香山(はこねかざん)』。文字通り「バーに泊まる」がコンセプトのホテルで、チェックインは午後6時より、13mのチーク材の一枚板のバーカウンターで行なう。箱根という土地柄、都内での仕事が終わってからでも足を延ばせると、幅広い層に支持されている。バーカウンターを背に鎮座するのが、大理石のテーブルが取り囲む鉄紺色の暖炉である。
「バーと相性がいいものを考えたとき、暖炉が思い浮かび設置しました。20歳未満の方は宿泊できませんので、暖炉の炎を見ながらお酒を嗜む大人の時間を過ごしていただきたいです」
こう話すのは広報担当の瀧口喜子さん。バーラウンジは午前2時まで営業し、一部有料のアルコールもあるが、基本は宿泊料金に含まれ、好みの飲み物を注文できる。ビールやワインはもちろんのこと、国内外のウイスキーやジンなどが300種類、さらに熟練のバーテンダーがつくるカクテルはアルコール抜きもあり、好みに応じて、種々さまざまを堪能したい。
さらにお酒に合う軽食も用意され、バーニャカウダやチーズの盛り合わせのほか、パスタやカレーもあり、腹ごしらえもできる。
箱根の稜線を眺める露天風呂
黒を基調とする落ち着いた客室は4タイプあり、スタンダードのほか130平方メートルのプレジデンシャルスイートには、銘酒の数々が並ぶバーキャビネットやサウナ、露天風呂が備わるという豪華さだ。温泉は内湯のみと露天風呂付きの2か所の大浴場。冷涼な風を感じながら露天風呂で寛ぎたい。また貸し切りでお酒と温泉、サウナが楽しめるプライベートスパ&バーがあり、シャンパン片手に湯浴みが楽しめる。
「お部屋や温泉での時間を楽しまれたあとも、やはりバーラウンジにいらっしゃるお客様が多いですね」と瀧口さん。グラスをかたむけ、暖炉が生み出すゆらぎ効果が客人を引き寄せるのだろう。
翌朝は、いつもよりゆっくりと目覚め、緑に囲まれる明るいラウンジで一日を始めたい。9時から提供されるのはシャンパンブランチ。メイン料理の蕎麦粉のガレットのほか、ビュッフェ形式で料理が並ぶ。昨夜の余韻に浸りながらグラスシャンパンを飲むもよし、厳選された豆で淹れるコーヒーで心身をリセットするもよしである。
bar hotel 箱根香山
神奈川県足柄下郡箱根町小涌谷507-4
電話:0460・82・0111
チェックイン18時、同アウト14時 21室。
料金:1泊ブランチ付き2名利用時ひとり3万8400円~
交通:JR東海道線ほか小田原駅下車、箱根登山バスまたは伊豆箱根バスで蓬莱園バス停下車、徒歩約5分
取材・文/関屋淳子 撮影/藤田修平
※この記事は『サライ』本誌2024年12月号より転載しました。