「うまさぎっしり新潟」のキャッチフレーズで観光推進を展開している新潟県。多彩な表情を持つ新潟の、訪ねてみたい魅力的なスポットを、4回にわたりご紹介します。
新潟といえば米処、酒処として有名ですが、日本ワインの礎を築いた川上善兵衛が創設者である「岩の原葡萄園」をはじめ、素晴らしいワイナリーがそろっています。
日本海に近い新潟市西蒲区の一角には、カーブドッチをはじめ、新潟の風土を生かしたワインづくりを行う5軒のワイナリーが集中しています。以下にご紹介しましょう。
■1:カーブドッチ
1992年創業のワイナリーで、角田浜の砂地を開墾して誕生。8ヘクタールの自社畑ではカベルネ・ソーヴィニヨンやピノ・ノワールなど約20種類のブドウを栽培しています。
なかでも特筆すべきは、スペイン産のアルバリーニョという白ワイン用品種です。
砂地は一般的にはブドウ栽培には向いていないとされています。水はけはいいのですが、反面、ワインに必要なミネラルなどの栄養分が足りなくなるからです。
しかしここでは、下草をそのままにする草生栽培などを行うなどの工夫をし、アルバリーニョで造る素晴らしいワインを生み出しています。
香りが華やかで白桃のようなニュアンスがあり、やわらかさがあるという、砂地を利用した日本のアルバリーニョの名産地といえるでしょう。海からの潮風も、湿度をたまりにくくしてくれるといいます。
敷地内には、レストランやカフェ、ベーカリー、温泉、宿泊施設もあり、お酒が苦手な方も、十分に楽しむことができるワインリゾート。ワイナリーツアーでは、畑や醸造室、樽庫、地下セラーなどを巡ります。
【カーブドッチ】
新潟市西蒲区角田浜1661
電話/0256-77-2288
※ワイナリーツアーは要予約、ひとり1000円。
さらに、カーブドッチを中心に4つのワイナリー(フェルミエ、ドメーヌ・ショオ、カンティーナ・ジーオセット、ルサンクワイナリー)が点在していて、「新潟ワインコースト」を形成しています。歩いて巡ることができる距離にあり、いずれのワイナリーでもワインの試飲などが行えます。
■2:フェルミエ
「海と砂のテロワールが育む新潟の個性溢れるワインを造りたい」と決意し、2006年から東京から移り住みワイン造りをスタート。やはりアルバリーニョの可能性を追求しています。ワイナリーツアーも実施しています(要予約、一人1000円。電話/0256-70-2646)。
■3:ドメーヌ・ショオ
夫婦二人で営む小さなワイナリー。デラウェアやシャルドネ、マスカット・ベーリーA、カベルネ・ドルサなどで、多彩な味を引き出しています。畑づくりは2009年からで、減農薬・無除草剤でブドウづくりを行っています。電話/0256-70-2266
■4:カンティーナ・ジーオセット
2011年創業。東京から移り住み、カーブドッチでブドウ栽培とワイン醸造を学び、2013年にワイン製造免許取得。栽培品種はカベルネ・ソーヴィニヨン、オーストリア産のツヴァイゲルトと、イタリア産のネッビオーロ、バルベラ、ランブルスコ。すべて赤ワイン用品種。イタリア種で造るワインは日本では珍しいです。電話/0256-78-8065
■5:ルサンクワイナリー
2015年に誕生したワイナリー。シャルドネをリリースしています。電話/0256-78-8490
次回は背脂ラーメンから農家レストランまで、バラエティ豊かな新潟の食を味わう3つのスポットをご紹介します。
取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。