磁器の見どころといえば、一般には青い呉須の模様や色絵。白の下地はいわばキャンバスだ。
しかし長崎県諫早市の長谷川武雄さん(67歳)は、器体にいっさいの色を施さずに個性を表現する道を、40年にわたって歩んできた。
純白の磁器にできるデザインには限りがある。だからこそ挑戦するおもしろさがある。たどりついたのが、一点ずつ轆轤(ろくろ)で薄く挽き、微かな挽き目を残すことだった。
そもそも磁器の粘土は融通が利かず、轆轤だけで薄く成形することは難しい。ふつうはやや厚めに挽いてから薄く削っていくが、長谷川さんは極力削りを加えない。
「料理に使う白い磁器はあくまで引き立て役ですから、器が主張しすぎてはいけない。かといって没個性的では、量産の器と変わりがなくなってしまいます。轆轤の挽き目とはつまり、手の跡です。作り手と使い手の指が触れ合うようなイメージでデザインしたのが、この片口ボウルのシリーズです」
片口に必須の機能は液切れのよさ。その性能を満たしつつも、器としての用途は特に限定していないという。
使う人それぞれの創造力で使い方を楽しんでほしいと、長谷川さんは語る。
商品名/片口ボウル 大小2個セット
メーカー名/長谷川武雄/長谷川陶磁器工房
価 格(消費税8%込み)/7,128円