埼玉県中東部に位置する春日部市は、古くから麦の集散地であり、麦農家の副業として麦わら帽子作りが発展してきた。パナマ帽など、植物繊維を編んだ帽子は世界各地にあるが、春日部の麦わら帽子は、ミシンで縫製していくという独特な製法だ。
まず、細い7本の麦の繊維を編み込んで「真田」と呼ばれる平らな紐を作り、それを渦巻き状に縫製していきながら、帽子に成型していくのである。
田中帽子店は明治13年(1880)頃から真田を作り始め、やがて真田から麦わら帽子までの一貫生産を開始した。真田を重ねて縫製しているため、伸縮性がある。漂白はせず、自然の麦色そのままの風合いも特徴だ。
長い間、地元だけで帽子作りを続けてきたが、最近になって、ファッションに詳しい若い職人や外部のデザイン協力者が加わるようになった。こうして生まれたのが、ポークパイハットだ。
イギリスの伝統料理のポークパイに似ているので、その名が付いた。イギリスに古くからある伝統的な型だが、彼の国には真田ほど細く編んだ紐を使うものは見当たらない。日本にしかない洋風の紳士用帽子といっていいだろう。
商品名/細麦ポークパイハット
メーカー名/田中帽子店
価 格(消費税8%込み)/10,800円