山梨県市川大門(市川三郷町)にある『大直』というメーカーがつくったのは、軽量な和紙を使った財布だ。
市川大門は千年の歴史を持つ和紙の産地。和紙を使った障子紙の生産は全国の4割を占める。『大直』が自社開発の破れない障子紙「ナオロン」を使って、日常品のブランド『SIWA|紙和』を創業したのは、2008年。和紙の財布はそのひとつだ。デザインは、工業デザイナーの深澤直人さん。
「ナオロンは強度がある素材ですがシワが入ると取れにくい。逆にそれが深澤さんの興味を惹き、シワが味になると、あえてシワを付けた商品を開発しました。“軽さ”は紙製品ならではの特徴。それが購入動機になる方も」
そう語るのは同社のプロデューサーの一瀬愛さん。しかし、和紙の財布などへの商品化は困難を極めた。布と違い、和紙は伸びないので縫製が難しい。革と違い縫い直しもきかないし、精密さが布や革以上。だから縫製工場では最新のレーザー加工機を使い、正確無比に紙を裁断する必要がある。
見れば製品はステッチのない構造。縫製はすべて袋縫いし、それを手でひっくり返すことで自然なシワが生まれる。最新技術と精緻な職人技の融合で、この軽くて優しい和紙の財布が生まれるのだ。
【今日の逸品】
SIWA長財布
SIWA|紙和
3,780円(消費税8%込み)