自社製品の開発で会社の危機を打破
昭和44年創業の「豊岡クラフト」の始まりは、大手時計メーカーの委託による天然木を活かした置時計や掛け時計の木枠づくりだった。時代とともに海外委託が主流となる中、その危機を脱するため、自社製品の開発へ大きく踏み出したのが昭和51年のことだった。「時計の木枠づくりでは、質のよい天然木を使っていても、パーツが大きいため、余った部分は廃棄していました。しかし、『よい木材は余すところなく使いたい』という想いがあり、パーツを細かくして、組み立てて作れるものに注目したのです。当初は電話台や書見台からスタートし、今では約150品の自社製品を扱っています」と、3代目社長の山﨑徹氏。
チェストなどの家具製作においても、細かなパーツを組み立てる方式を採用する。製品の構造やデザインの考案は、会長の山﨑肇氏が中心となり行なっているが、職人ならではの目線を活かしたものづくりは、無駄のない構造と使いやすさで使い手の心をつかむ。
手づくりならではの着眼点
職人の趣向を凝らした2品は、リビングで散らばってしまいがちなものをひとまとめにできる収納ボックス。「整理整頓チェスト」の引き出しは全7段。書類やプリンター用紙を美しく収納する。上4段は引くと扉が跳ね上がるフラップ式で、引き出しの取っ手には溝を作り、指がかかりやすくした。キャスター付きで移動も簡単だ。
文具やリモコン、携帯電話なども収める「こみだれ箱」は、収納するものの大きさに合わせて上面の仕切り板を動かせる。仕切り板の溝は山形に彫られていて、板の動きも滑らか。上面の収納スペースは列ごとに深さが異なり、余った空間を利用して前面にフラップ式収納棚と引き出しを付けた。文句の付けどころのない使いやすさだ。
【今日の逸品】
こみだれ箱
豊岡クラフト
11,000円(消費税込み)