古美仕上げの銀が格調高い、心に寄り添う小さな御仏
人々の悩みや悲しみを代わりに受け止めてくれる、ありがたい存在として民衆に広まった地蔵。そんな心の拠りどころをいつもそばに感じられるよう、昭和2年創業の「森銀器製作所」が企画した『銀製・お願い地蔵』である。同社は宮内庁御用達の栄誉を賜った銀の総合メーカーで、原型制作は金工作家の吉田積人さんが担った。
「最もこだわったのは、お地蔵さまの優しく穏やかな表情です。考え事をしているかのように首を少し傾け、目は閉じているのか開いているのか絶妙な塩梅になるよう、原型を何度も調整しました」と、本品の発案者である同社代表取締役社長・森 將さんは語る。
鋳造は「ロストワックス」と呼ばれる製法で行なわれる。蝋(ワックス)で作った原型を石膏の台座に仕込み、熱して蝋を溶かし出し、できた空洞に銀を流し込んで成形。その後、表面に「古美仕上げ」を施す。
「古美液を表面に塗り、紫外線に当てると色が黒く変わります。それを丁寧に磨き上げることで、まるで長い年月を経たかのような風格が生まれるのです。手作業で作るため、ひとつずつ色調が異なる一点ものの御仏です」と森さん。
高さは3cmほどのかなり小さなサイズで、お守りのように持ち歩ける。手にのせれば銀のしっかりとした重みが感じられ、不思議と心を落ち着かせてくれる。
【今日の逸品】
銀製・お願い地蔵
森銀器製作所
13,200円(消費税込み)