藍染織物が全国的に広まった江戸時代、武州(現・埼玉県)では利根川流域の肥沃な土壌が藍の栽培に適したことから、自然由来の素材で天然藍から染液を作る「天然発酵建て」が発展した。その技法は「武州正藍染」として現代にも受け継がれている。「天然藍は温度調節や栄養補給など、管理に相当な手間を要します。それでも天然藍にこだわるのは、虫除けや抗菌防臭など天然藍ならではの効能を活かすためです。ふだん着としてはもちろん、アウトドアでも活躍します」
そう語るのは、羽生市に工場を持つ「野川染織工業」の4代目・野川雅敏さん。同社は大正3(1914)年の創業以来、武州正藍染のもうひとつの特徴である「先染め」の技法を駆使して衣料品や剣道着を製作。中でも日常的に藍染めの魅力を味わえるのが本品だ。
先染めとは、織る前の糸自体に藍染めを施す製法のこと。先染めした糸で織った生地は、染めムラが縞模様に見えることから「無地青縞」と呼ばれ、愛されてきた。また、旧式のシャトル織機でゆっくりと織り上げるので、空気を含んだやわらかな肌触りも魅力だ。
シャツに仕立てた直後は濃い藍色だが、着続けると明るい青緑の浅葱色や淡い青の甕覗へ変化していく。まさに天然染色ならではの色と風合いが楽しめる一着である。
【今日の逸品】
藍シャツ プレーン
野川染織工業
24,200円(消費税込み)