夫婦レス30年、浮気は続かなかった
誠一郎さんは、人との距離感が程よい。程よくフランクで、礼儀正しい。「女性だから」などと、先入観が感じられない。聞けば母子家庭で育ったのだという。
「母親は威勢がいい働き者で、さっぱりしている。85歳の今も元気。父親は典型的なダメ男で、百科事典の訪問販売をしていたと聞いている。ある日突然、母と2歳の私を捨てて、蒸発しちゃったんだよ。母が学校の先生をしていたことと、母の実家がアパート持っていたから、大学まで出してもらえた。私は荒っぽい母と、優しい祖母に育てられた。だから、女性に対する畏敬の念が抜けないのかもしれないね」
だからこそ、若い頃はすごくモテたという。
「モテたよ。結婚してほしいと女性側から言われて、実家に連れていくと、母が門前払い。当時、マザコンって言葉はなかったけど、『お母さんと結婚すればいい』と言われたね。唯一、OKを出したのが妻。母親の女性を見る目は鋭い」
妻とレスになってから30年近く、浮気は何度かした。
「恥ずかしい話、男って、女性を抱かないと、さみしくて仕方なくなる時がある。でもプロはなんとなく嫌で、同級生とか仕事関係とか、そういう人とちょっとあったけれど、まあそんな関係はすぐに終わるよね」
【運命の女性は妻だけではなかった……親友の葬儀で出会ったその妻と~その2~に続きます】