取材・文/ふじのあやこ
家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、その時に感じた率直な思いを語ってもらう。
外から「一人っ子」だと思われないように厳しく育てられた
今回お話を伺った、桃子さん(仮名・37歳)は、昨年、職場で知り合った2歳上の男性と9年の交際期間を経て結婚、現在は都内のマンションで2人暮らしをしています。桃子さんの悩みの種は義父の行動だと言います。
「夫にもややそういうクセは付き合っていた頃から感じていたのですが、結婚していなかったから、まぁ目に余るところだけを注意していたぐらいでした。でも、結婚して、義父が夫よりもひどい行動をとるのを目の当たりにして……。生理的に無理なのを今は必死で隠しています」
桃子さんは千葉県出身で、両親との3人家族。桃子さんは長い妊活の末にやっと授かった子だったようで父親からは溺愛されて育ちます。しかし、反対に母親からは厳しく躾けられたとのこと。
「父親は祖父のような感じで、母親に怒られて泣いていたら優しくしてくれましたし、母親に内緒でよくお菓子を父のお小遣いから買ってくれていました。休みの日には公園で遊びに行くと嘘をついて、よく父と2人でベンチに座ってお菓子を食べていましたね。
母親は、『一人っ子だからってわがままなイメージがついたらいけない』と、家でのおやつは母親と半分こしないといけなかったり、好きなおかずなどが晩ご飯で出たとしても、『好きなものこそ人にあげなさい』と口癖のように言ってきて、両親が自分たちの分を取ってからじゃないと取ったらダメでした。ご飯の食べ方や姿勢などにもうるさかったです。でも、私はその教えを忠実に守っていたから、友人からよく一人っ子に見えないと言われることが多かったですね」
都内の大学を卒業後に、都内にあるOA機器等を扱う商社に就職。内勤の事務スタッフとして働き始めます。2年上の先輩の後の旦那さまとは社内の飲み会がきっかけで仲良くなり、3年の友人関係を経て、恋愛関係に至ります。
「平たく言えば、社内合コンっていうんですかね。別部署との飲み会の場で夫とは知り合いました。でも、最初はいい人だなってくらいでしたよ。当時夫のほうには学生の頃から付き合っている彼女がいましたから。私と恋愛関係になったのはその彼女と別れてからです。今もなんですが、当時からお互いタバコを吸っていて、よく喫煙所で会っていて、友人として仲は良かったので、付き合おうと向こうから言われた時もまぁいいかなと思って」
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