「ダメな部下でも、使わないといけない」と指示される中間管理職のつらさ。
「そんなの上司のマネジメント力不足だろ」と心無いことを言う人もいる。
そうかもしれない。
が、彼らも普通のサラリーマンである。
少し考えてみれば「完全な管理職」など、どこにも存在しないことは容易に想像できる。
管理職も部下たちと同じく自分の能力不足と向き合いながら、日々悩んでいるのである。むしろストレスの度合いは一般社員に比べて大きい。
実際、JTBコミュニケーションデザインの調査では、現在の管理職は権威が失われ「上司」と「部下」の板挟みで苦しんでいる存在である。
平成時代の課長は、「ストレス」「板ばさみ」「これでいいのか不安」。かつての課長の権威はなく。
平成時代を課長として過ごした日々を振り返ってもらったところ、最も多かったのは「ストレスが多い」(46.8%)で、以下「上司と部下の板ばさみになる」(37.1%)、「課長としてこれでいいのかと不安がある」(34.0%)、「忙しく、時間の余裕がない」(32.6%)、「課長は孤独である」(32.1%)が続きます。
「平成の課長」調査発表
とくに自分が採用に関わっていない、ダメな部下を「使わないといけない」状況に追い込まれた管理職は、本当にストレスフルな仕事だ。
「働き方改革」によって、会社は社員に残業させず、無理を言わず、ますます優しく接するようになっている。
もちろん「ブラック」な会社も数多くあるが、全体からすれば僅かな数である。
「週60時間以上・年収250万円未満」の「ハードワーキングプア」は確実に減少している。
絶対数で見ると、2012年の394,900人に対し、2017年には物価上昇分を考慮しても340,146人が該当する(尚、物価を考慮しないと、2017年の実数は272,900人である)。
ブラック企業は減ったのか? 5年に1度の大規模調査で検証する
だが、その「しわ寄せ」はどこに来ているかといえば、これは間違いなく残業などの制限がない「管理職」だろう。
ある損害保険会社の管理職は、こんな事を言っていた。
「客先でちょっと嫌なことがあると、すぐに休職する人が本当に増えた。ウチの職場でも3人休職中だ。もちろんうちはホワイト企業だから、彼らに給料は出し続けているけれど、その分のお客さんは、管理職が引き受けている。残業代はもちろん出ない。一般の社員のときに比べて給料は減るわ、なにか起きるとすぐに責められるし、責任ばかり重くて嫌になる。管理職になんか、なるもんじゃないよ」
いままで日本企業の屋台骨を支えていた「責任感ある管理職」が崩れた時、組織がどうなってしまうのか、想像に難くないだろう。
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いかがだっただろうか? 部下から「上司」と言われる中間管理職の人間は今も昔も苦労が絶えない。最近ではセクハラやパワハラなどのハラスメント問題など、ひと昔前に比べるとストレスは大きくなるばかり。一度会社として組織ぐるみで考えてみる必要があるかもしれない。
引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/