マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」が、ビジネスの最前線の用語や問題を解説するシリーズ。

個人(部下)に合わせてしまうと、全員の意見を反映しきれず一部の個人からえこひいきや差別をしていると受け取られてしまい、マネジメントに関して逆効果が起こってしまう可能性が高まります。どのようにマネジメントを行うべきかについて識学の観点から解説します。

はじめに

昨今、個の時代、多様性などの言葉が独り歩きしているように思います。一人一人の考え方や発想は自由であっても良いのですが、組織やチームで行動する際に、果たして個々人の意見を尊重しすぎることが正解でしょうか?

例えば、チームスポーツや部活動での団体戦をイメージしてみてください。みんなが楽しく運動不足解消のために集まった自由参加型のコミュニティとなれば、個々が自由に参加するコミュニティでも成り立つとは思います。しかし、チーム一丸となって試合に勝つ、敵を倒すとなれば話は別です。決められた時間に集合し、基礎練習を行い、それぞれが与えられたポジションで結果を残すために練習を積み重ねることが必要です。つまり、チームとして決められた規則やルールに個々人が合わせることが求められます。

では、会社ではいかがでしょうか? 自社のサービスを世の中に普及させ、利益を上げる集団でなければいけません。自分のやりたいことや個人的な目標を果たすことだけに集中している方がいれば要注意です。会社から求められている目標は後回しにしていたり、目標を果たそうとしない方々の集まりでは、利益を上げることが困難となります。そのような会社は長く存続することが難しくなります。

先ほどのチームスポーツ同様に、決められた規則やルールに個人が合わせることが求められます。

チームをまとめる責任者・管理者は何に気を付けるべきか?

識学の観点から、責任者・管理者の方に注意していただきたいのは、以下の3点です。

1.競争環境を生み出すために公平に平等に接する

例えば、Aさんは「朝は準備に時間をかけたいので10時出社が良い」と言い、Bさんは「夕方にはプライベートな予定を入れたいので17時退社が良い」と言ったとします。上司がこれらの個人的な要望を全て受け入れ、個別の勤務時間を認めた場合、他のメンバーはどう思うでしょうか。「なぜ、あの二人だけ特別扱いなのか?」「自分たちの都合は考慮されないのか?」といった不満が募り、上司への不信感につながります。このように、個々人のルールを尊重しすぎる事が不公平、不平等に繋がります。

同様に、個人のモチベーションに合わせることも同様にNGです。Aさん、Bさんがそれぞれ「服装が自由な方がモチベーションが上がる」「カフェで仕事をした方がモチベーションが上がる」など、個々の要望に合わせた結果、不公平感に繋がります。

また、部下の管理においても同じです。Cさんは「自分のペースでじっくり進めたい」と言い、Dさんは「細かく指示してほしい」と言うかもしれません。これら全てに対応し、Cさんには進捗確認をほとんどせず、Dさんには頻繁に指示を出すといった対応は、他のメンバーから見ると「あの人には甘い」「この人には厳しい」といった印象を与えてしまいます。さらには、「Dさんだけ特別扱いされているのか?」「もしかして、上司の好き嫌いで対応を変えているのか?」といった疑念も生じます。

上司が好き嫌いで部下を管理しているように映ると不公平感だけでなく、結果を残すことよりも上司に好かれることを第一に考え始めます。えこひいきされていると捉えた場合に、競争環境も生まれないチームとなってしまいます。

2.まずはチームをまとめるうえでルールを設定する

上司はチームを率いる責任があり、責任を果たすためにはルールを決める必要があります。チームとして結果を残すために必要だと思うルールに関しては、個別の調整はしてはいけません。

例えば、上記で説明したように「出勤時間」「身だしなみ」「部下から報告をさせるタイミング」などに関するルールです。ルールを設定された部下からは様々な出来ない言い訳が出るかもしれません。しかし、責任者としてチームの結果を残すために個別調整はせず、チームのルールに個人が合わせるよう指導してください。

3.ルール設定による効果

ルールというと「堅苦しい」「自由にさせてもらえない」などとネガティブな意見が多いかもしれません。では、反対に、ルールがないチームにおいてどのようなことが起きるでしょうか?

例えば、お互いの意見のぶつけ合い、責任のなすりつけ合い、終いにはお互いが感情的になりトラブルに発展するケースも考えられます。また、トラブルになったタイミングで上司が「普通は……」「一般的には……」などといったあいまいな言葉を使ってまとめようとしても難しいことは容易に想像できます。ルールがあることでお互いの認識を合わせたり、余計なトラブルなく仕事が出来る環境の方が、パフォーマンスは高くなります。

さらには、同じルールの下で行動を続けることで、一体感や仲間意識を生み出すことができます。みんなで目標を達成するために足並みを揃え、同じルールや条件の下でゴールまで走る過程で「私たちは同じコミュニティの一員である」という感覚を強く抱くようになります。逆に、ある人がルールを守らなかった場合、守っている側の人から「ルール通り行動しないならチームの一員として認めない」「和を乱すならこのチームから出て行ってほしい」といった感情が沸き起こります。

まとめ:なぜ「誰にも合わない上司」になってしまうのか?

チームという組織においては、個々人のニーズだけでなく、チームとしての共通の目標達成や、そのための全体の調和が不可欠です。一人一人の要望を全て聞き入れ、それぞれの都合の良いようにルールを変えてしまえば、組織はバラバラになり、共通の目標達成など到底望めません。

個人の意見を尊重しすぎることが本当に正解でしょうか? チームとしての結果を出すことが求められる責任者・管理職の方々には、個別調整がいかにデメリットを含んでいるかをご理解いただけると幸いです。

識学総研:https://souken.shikigaku.jp
株式会社識学:https://corp.shikigaku.jp/

 

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