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親の終の棲家をどう選ぶ?|母親のがん闘病中に、父親が脳出血で倒れた――宍戸千絵さんの場合【前編】

取材・文/坂口鈴香

幼いころの宍戸千絵さん(真ん中)。小学校の教員だったお母様と

幼いころの宍戸千絵さん(真ん中)。小学校の教員だったお母様と

参院選の政見放送が流れていた。母親のがん闘病中に父親が倒れ、仕事をしながら介護をしたという内容が耳に入ってきたので思わず画面を見ると、若い女性候補者がマイクに向かっていた。それが宍戸千絵さんだった。ホームページには、早稲田大学理工学部を卒業し、ジョージワシントン大学経営大学院修士、独立行政法人製品評価技術基盤機構から経済産業省に出向、米国環境保護庁への派遣……、と輝かしい経歴が並んでいる。超ハードだと思われる仕事を続けながら、どのようにご両親の介護をしてきたのか、お話を聞かせてもらうことにした。

■母親が希少がんに

宍戸さんは現在41歳。60歳になったばかりのお母様にがんが見つかったのは、10年ほど前のこと。宍戸さんはアメリカに赴任中だった。アメリカに遊びに来た母親が、体調がすぐれないという。

「食が進まないと言って、せっかくアメリカに来たのに家で軽食をつくって食べていたので、変だなと思いました。また『私が死んだら遺言が金庫に入っているからね』とも言っていて、ずいぶん用意周到だなと思ったのを覚えています」

翌年、帰国した宍戸さんは母親ががんだと告げられた。スティーブ・ジョブズと同じ膵内分泌腺がんという病気で、日本では10万人に1人という希少がんだった。

「アメリカにいる私に心配をかけまいと内緒にしていたようです。ずっと前から調子が悪かったようですが、珍しいがんだったため診断がついたときには最終ステージ。その後、医師からは『余命は長くても2年』と告げられましたが、両親の動揺を考えると誰にも言えませんでした」

とはいえ、このころはまだ母親は元気で、通院も一人でできていたという。

■父親が脳出血で倒れる

ところが、それからしばらくして父親が脳出血で倒れた。手術後1週間ほどして意識が戻っても、目がほとんど見えていないようで、手だけがかろうじて動かせるという状態。まさに父親は、「ある日突然介護が必要になった」のだ。しかも、もっとも重い要介護5だった。

「急性期の病院は数週間で退院しなければなりません。その病院から紹介された回復期のリハビリ病院は自宅から遠く、それでは仕事をしながら面会に行くこともできません。その後の介護を考えると、面会に行きやすいことは必須でした。探してみると、リハビリの評判がよく、勤務先からも徒歩圏内の病院が見つかったので、そこに転院させてもらうことにしました」

父親は転院後も自分がどこにいるのか、理解できていないようだったという。宍戸さんが胸を痛めたのはそれだけではない。

「仕事帰りに面会に行くと、手を縛られているんです。手術した頭を触らないための処置だったようですが、その姿を見るのがつらかったですね。ただ家族が行くと拘束を取ってもらえるので、毎日行ってあげなくてはと思いました」

このリハビリ病院では6か月間集中してリハビリを行った。その結果、車いすから普通のいすに移って、介助してもらえれば食事ができるところまで回復し、介護度も4に改善したのだ。

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