短大進学時に一人暮らしをスタート。母親との距離はもう掴めないようになっていた
朱音さんは仲の良い友達と一緒の高校に進学するため受験勉強を頑張り、希望する高校へ進学します。しかしそのことが間違いだったと言います。
「落ちこぼれてしまったんです。授業内容はまったくわからないという感じではなかったのに、テストでいい点が取れなくて、いつも下の中くらいの成績でした。おまけに仲が良かった子とは1年の時は登下校こそ一緒でしたが、2年に上がって彼女が理系に進んでしまったことで一緒に過ごすこともなくなりました。それに、高校くらいから気を使わずに一緒にいれる子ができませんでした。友達同士が盛り上がっていることにうまく馴染めず、それが斜に構えた感じにとられて人が離れていき……。学校生活で1人ぼっちになることはなかったけど、今も連絡を取っている高校時代の友人は1人もいません」
高校卒業後は、高校の友人が誰も進学しなかった大阪の短大へ進学、同時に一人暮らしをスタートさせます。短大という女性だらけの場所ではいじめが行われており、馴染めなかったそう。その後、大阪の輸入雑貨を扱う企業で事務の仕事を始めます。
「いじめは私にではなく、別の女の子にです。男の人が見ていない分、隠れていじめって行われないんです。暴力はないけど、無視や仲間外れ、聞こえるように悪口を言うというのが、私の目の前で行われていて。その対象の子は友達じゃなかったけど、同じ授業を取っていたから視界にはいってくるんです。彼女がいじめられている姿を見ると何もできないくせに嫌な気持ちになるんですよね。
短大を卒業してからは、学校に求人が出ていたところに入りました。すぐに決まりましたね。就職が決まった時は父親がお祝いしてくれました。母親のいる実家にはお正月くらいしか帰省しませんでした。もう母親とは会話もなかったし。それに、高校の時から何かと理由をつけて父親もあまり帰ってこなくなっていました。就職のお祝いも2人です。私もそのほうが気は楽でした。高校の時から、母親と話す時は、これを話そうと前もって考えないと会話が続かなくなっていましたから」
一回り以上年の離れた男性に惹かれ、恋愛関係に。何でも話せていた父親にも言えない恋愛が始まります。
【~その2~に続きます。】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。