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【夕刊サライ/川合俊一】ニューヨークへ、画家リロイ・ニーマンに会いに行く!(前編)(川合俊一の暮らし・家計コラム 第6回)

夕刊サライは本誌では読めないプレミアムエッセイを、月~金の毎夕17:00に更新しています。火曜日は「暮らし・家計」をテーマに、川合俊一さんが執筆します。

文/川合俊一

※今回のコラムでは特定の絵画作品をご紹介しておりますが、絵画の著作権、ならびに予算の都合上、その写真は掲載しておりません。ぜひネット検索を多用しながらご覧ください(笑)。

今回は、株式投資以外の趣味についてお話をしようと思います。

それは絵画鑑賞です。

僕は絵画を観るのが大好きで、20代の頃から、海外に行ったときは、近くに有名な美術館があれば必ず訪れるようにしています。

俗に世界三大美術館と呼ばれる、フランスのルーブル美術館やロシアのエルミタージュ美術館、スペインのプラド美術館はすべて観ていますし、特にルーブル美術館には4回は行っていると思います。ニューヨークのメトロポリタン美術館やMoMA(ニューヨーク近代美術館)も好きですね。

ムンクの『叫び』を収蔵している、ノルウェー・オスロの国立美術館にて、叫びのポーズ!

国内でも、地方に行ったときには、やはり近くに美術館があればなるべく行くようにしています。比較的最近では、岡山県倉敷市にある大原美術館が印象に残っていますね。事業家の大原孫三郎が昭和5年に設立した、日本最初の西洋美術中心の私設美術館だそうですが、セザンヌ、ミレー、モネ、マネなどコレクションも充実しています。

僕がいちばん好きな画家はリロイ・ニーマンです。アメリカの現代作家で、日本ではそれほど知られてはいませんが、1984年に開催されたロサンゼルスオリンピックなど5つのオリンピックで公式画家(オフィシャル・アーティスト)を務めるなど、アメリカでは非常に有名なアーティストです。

絵を言葉で表現するのは難しいのですが、輪郭線などはなく、筆をキャンバスに軽く叩いて描いているような感じが最大の特徴といえます。そのため、一瞬の動きを表現するのがうまく、どの絵も躍動感にあふれています。

また、彼の作品は、日常のありふれた風景や、スポーツ競技、ミュージシャンほか著名人をモチーフにしたものが多いので、難解なところはありません。予備知識がなくても、十分に楽しめる絵といえます。作品の点数も多く、世界中の美術館でコレクションされているので、知らないうちに目にしている方もいらっしゃると思います。それぐらい、ポピュラーな画家です。

27歳の決意。ならば、自分で描いてみよう

僕がリロイ・ニーマンを知ったのはロサンゼルスでした。バレーボール選手としての現役を引退して、アメリカへ旅行に行ったときだから、27歳のときですね。ショッピング街として当時から人気のあったロデオドライブに行ったんです。

ロデオドライブには、画廊も結構あって、そのうちのひとつに入ってみると、シャンパンの栓がポン!と抜かれた瞬間の絵が飾ってありました。

もう、ひと目観たときから気に入ってしまい、しばらく眺めていると、画廊のスタッフから、「その絵を描いた画家の作品の写真集をプレゼントしますよ」と言われ、一冊の本を渡されました。それが、リロイ・ニーマンだったのです。

あまりにも気に入ったので、買ってもいいかなと思い、値段を聞いてみると、なんと6000万円(!)という返事。もちろん買えるはずもなく、その画廊を後にしました。

でも、画廊を出てからも、そのシャンパンの絵が頭から離れません。もう、欲しくて欲しくてたまらない。そこで、僕は、自分でその絵を描いてみようと考えたのでした。

リロイ・ニーマンの絵は、すでに言ったように、筆をキャンバスに軽く叩きながら描いていくような感じだったので、なんか自分でも描けるのでは? と思ってしまったんですね。

僕は、子供のときから絵が上手だったわけでもまったくないので、今思い返してみると、なんでそう考えたのか、自分でも理解に苦しむ部分があるのですが、それほど絵が欲しかったということなんでしょう(笑)。

すぐにロサンゼルスの画材屋さんに行って、絵画道具一式を買い揃えて、描いてみることにしました。この辺の行動力だけは、自分でもスゴイと思います。

実際に描いてみると、全然、イメージどおりには描けません。当たり前です。自分で描くことはあきらめて、早々に挫折しました。

そして、日本に帰ってから、リロイ・ニーマンの作品のリトグラフを購入しました。シャンパンの絵のリトグラフはなかったので、バーの店内を描いたものにしました。それでも値段は60万円くらいはしたんじゃないかな。

絵を習ったことがないので当然でしょうが、自分で描いてみると、躍動感が出ないんですよね(笑)。なお、リロイ・ニーマンのリトグラフは今、倉庫にしまってあります。

それ以来、彼の大ファンになったのです。

――と、これで終わると普通の趣味の話ですが、いいですか、僕の場合、ここからが本番ですよ。

アメリカから帰ってから1年後くらいに、事務所のスタッフが「事務所のTシャツを作りましょう」と言い出しました。そして、「川合さんはどんな絵が好きですか?」と聞いてきたのです。

僕は、当然、「リロイ・ニーマンていう人、知ってる?」と答えました。すると、そのスタッフは、「知ってるも何も、彼は日本に2回来たことがあるんですけど、僕が2回ともアテンドしたんですよ」と言うではありませんか。

「川合さんが好きなら、本人に連絡しましょう!」と、すぐに本人に電話をかけてくれ、リロイ・ニーマンから、「それならニューヨークに遊びに来いよ!」という返事をもらってくれたのです。

そんなやり取りを経て、僕は、勇躍、ニューヨークに行きました。まず、個人のリロイ・ニーマンの作品の収集家の人たちを何人か紹介され、そのお宅に遊びにいきました。

何千万円、あるいは億以上の値段が付くような本物を見ることができて、それはそれでかなり楽しい体験でした。

ただ、会う人がみんな、「お前は何人だ? えっ、日本人だって!? それはおかしいぞ。日本人にそんなに背が高いやつがいるわけがないだろ。きっと中国人だよ。もう一回、きちんと調べ直したほうがいい」と、異口同音に言うのが不思議でしたけど。

この先は余談ですが……。

ブロードウェイで、めちゃくちゃ人気のあるステージを観に行ったんですけど、僕、残念なことに爆睡をしてしまいまして……。しかも、そのときは白黒の大きなチェック柄というド派手なスーツを着て、前から3、4列目に座っていたので、かなり目立っていたのでしょう、ステージの終盤、パッ!と目が覚めたら、舞台で演じている人たちがみんな僕を観ているではありませんか。

きっと、こんなプレミアムチケットのステージなのに寝ているなんて許せない、と思ったんだと思います。僕が目を覚ましたら、舞台のみんなが笑顔になりましたから。いやー、あれはびっくりしたと同時に、恥ずかしかったなあ。

そんなこんながありつつ、いよいよリロイ・ニーマンと会う日になりました。そこでは、彼の顔色が変わるような“事件”が起こったのです。それは、次回にお話しましょう。

文/川合俊一(かわい・しゅんいち)
昭和38年、新潟県生まれ。タレント・日本バレーボール協会理事。バレーボール選手としてオリンピック2大会に出場(ロサンゼルス、ソウル)。

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