夕刊サライは本誌では読めないプレミアムエッセイを、月~金の毎夕17:00に更新しています。火曜日は「暮らし・家計」をテーマに、川合俊一さんが執筆します。
文/川合俊一
本エッセーのテーマである「暮らし・家計」に立ち返って、再び株式投資についてお話したいと思います。
すでに、この連載2回目で、大きなニュースが出たときにそのニュースに関連する銘柄に投資する、という手法を紹介しました。そこで、今回は、もうちょっと専門的なやり方について説明をします。
正直、株に興味のない方にとっては、あまり面白くはないかもしれません。専門的な用語は、できるだけわかりやすく説明しますので、お付き合いいただければ幸いです。
その投資手法とは、個別銘柄の「出来高」(できだか)に注目するというものです。
出来高というのは売買が成立した株数のことで、「売買高」とも呼びます。1日に100株の取引が成立すれば、その銘柄の出来高は100株となります。
出来高は銘柄によってかなりの差があり、それこそ1日に100株しかない銘柄もあれば、メガバンクのように何千万株に達する銘柄もあります。会社の規模が大きい銘柄ほど、発行済み株式数が多くなるので、出来高も多くなる傾向にあります。
株価を動かす材料が出たときには、出来高が増加します。好決算を発表したとか、有望な新製品を開発したとかいった材料なら、出来高は増加し、株価は上昇します。
よい材料だけでなく、逆に、決算の内容が期待外れだったといった悪い材料が出たときにも、株の「売り注文」が増えるため、出来高は増加します。その場合、株価は下落することになります。
そして、僕がチェックするのは、これといった材料が出ていないにもかかわらず、通常の何倍もの出来高を記録して、株価が上昇した銘柄です。
新聞の記事になるような、誰もがわかる材料が出ていれば、それ以降、数日、場合によっては数か月といった期間、出来高は増加し、株価の上昇は続くことになります。
しかし、中には、わずか1日や2日で出来高の増加や株価の上昇は終了し、元の状態に戻ってしまう銘柄があります。そうした銘柄は、なぜそうした動きになったのか、理由は判然としません。変化はごく短期間で終わってしまうため、大抵は、見過ごされてしまうことになります。
僕は、そうした銘柄を普段からチェックしていて、気になった銘柄は継続的にウォッチするようにしています。すると、そうした銘柄の中で、再度、これといった材料が出ていないにもかかわらず、出来高が増加し、株価が上がる銘柄が出てきます。で、1日か2日すると、やはり何事もなかったかのように、元の状態に戻る。
実は、こうした変化を繰り返す銘柄は、だんだんそのタイミングがつかめるようになってきます。そして、「また来たな!」と感じたときに、すかさず投資するのです。
「でも、たくさんの銘柄の中から、そんな細かい変化をしているものを探すのは、株に詳しい人以外は無理なのでは?」と、疑問に思う人もいるでしょう。
その心配は無用です。いまは、証券会社から便利なアプリが出ているので、誰でも簡単に見つけ出すことができるのです。
証券会社のサイトにはいろいろな情報の画面があり、その中には、出来高に関する画面もあります。おそらく「出来高急増銘柄ランキング」などの見出しが付いているはず。
僕のように、出来高に注目して取引をする人は他にも結構いるので、どの証券会社のサイトにもあります。もちろんスマホでも見られるようになっており、1日1回、数分程度チェックしていれば、そうした銘柄を発見することができるでしょう。
このように、見つけ出すのはとても簡単。
重要なのは、見つけた銘柄を継続してウォッチする根気ですね。僕は、株式投資が趣味なので、まったく苦になりません。
前述したように、出来高に着目して取引する投資家は多いんです。株式の値動きを示しているグラフ(株式用語では「チャート」といいます)と組み合わせるなど、いろいろな手法が編み出されています。
また、出来高の変化は、朝イチから表れるので、株式市場がオープンする前から、待ち構えていなければなりません。「早起きは三文の得」とはよく言ったものです。
そうやって、読みが当たってドーンと上がったときは、気持ちいいものです。その快感があるから、株はやめられません。
文/川合俊一(かわい・しゅんいち)
昭和38年、新潟県生まれ。タレント・日本バレーボール協会理事。バレーボール選手としてオリンピック2大会に出場(ロサンゼルス、ソウル)。