夕刊サライは本誌では読めないプレミアムエッセイを、月~金の毎夕17:00に更新しています。火曜日は「暮らし・家計」をテーマに、進藤晶子さんが執筆します。

文/進藤晶子

私は大学卒業まで大阪で過ごしました。ありがたいことに両親ともに元気ですが、それでも年々、心配なことが増えてきました。夏休みや春休みなどの長期の休暇には少し長く帰省できますが、日頃からちょくちょく顔を見に行く、というわけにはいきません。

そんな私と実家のコミュニケーションに欠かせないのがLINEです。LINEには何人かで同時に情報を共有できる「グループ」機能がありますよね。我が家では、母、妹、私の3人でグループを作って、3家族の近況を共有しています。

妹家族は両親の近くに住んでいて、子供の送迎を急遽母に頼む、なんて時にはLINE、「熱を出した!」と母にヘルプを頼むのもLINE、逆に母からは「今から病院〜」とか「家に帰ってきた」などの報告が送られてきます。

母は今年72歳。5年ほど前にガラケーからスマホにスイッチし、今ではすっかりLINEやその他の機能も使いこなしています。使い方がわからない時には、周囲にいるデジタルに詳しい若者に教えてもらったり、携帯ショップに行って疑問を解決しているようです。帰省するたびに新しい使い方をマスターしていて、なんだかとても楽しそう!!

ガラケー時代は、用事があるときにだけ連絡を取り合っていました。母もメールより電話を使うことのほうが多かった。でも電話は繋がらないことも多く、よく留守電にメッセージが入っていました。さらに重要な用件はFAXで送られてきたものです。私が帰宅すると、ファックス用紙がベロベロ〜と流れ出ていたりして(笑)。

離れて暮らしているとお互いの生活のリズムが良くわからないから、遠慮しあって、結局、伝えたいことのごくわずかしか伝えられない。そうし続けていると、コミュニケーションがどこかギコチなくなっていきますよね。

それがLINEの登場で、解決!

なにげないひと言でコミュニケーションが成立するので、まるで3人がその場にいるかのよう。「おはよ〜、今起きたよ〜」とか、「お庭の桜が咲いた!」とか、「今夜のメニューはお魚の煮付け」から始まって、どんどん会話が繋がっていきます。短い文章で、しかも、3人でコメントのやりとりができるので、電話やFAXではわざわざ連絡するのは気がひけるような日常のひとコマを伝え合っています。

ほかにも、花粉が絶好調に飛んでいる時期には『今日の花粉飛散情報』サイトが添付で送られてきたり、目からウロコの生活お役立ち情報記事を送ってきてくれることも。そうそう、この『夕刊サライ』の私の連載も、「Yahoo!ニュースに出ていたよ〜」とLINEにURLが添付されていました。

近年、ITを使った「見守りサービス」が話題になっていますが、母とLINEでやりとりをしていると、短いコメントからも「あら、 これは睡眠不足だな」「忙しい日が続いていてちょっと要注意」と体調の変化を感じることもできています。時には、血圧の計測値を「画像で送って!」と確認したりして。

母からは動画も送られてきます。長期休暇で子供を連れて帰省すると、時々私は東京に“出稼ぎ”に出て行くことになるのですが、その間、子供が宿題をしている証拠映像が(笑)

私がバタバタしていてLINEに参加できなくても、後から、妹と母のやりとりを追いかけることができるし、行間から言葉にならないメッセージが伝わってくるのが、とてもありがたいと感じています。未読メッセージが28件、と表示されていると、さすがにギョッとしますが……。

宅配便で冷蔵庫の中も共有!?

LINEと並んで欠かせないのが宅配便です。

実家からは「珍しい食材見つけたから買っておいたわよ」という生鮮食品や、「これ便利だったから」と日用雑貨、先日は母が下茹でしてくれた京都のタケノコが送られてきました。私にとっては玉手箱のようで、いつも開封するのが楽しみです。隙間が空くと、緩衝材代わりにトイレットペーパーが差し込まれているのも、アイディアだなあと感心させられます。私も両親の好物を見つけては送るのですが、母の梱包テクから学んだおかげで、壊れものもいつもトラブル知らず。無事届いているようです(笑)

母から送られてきた『玉手箱』。今回は、実家に保管していた必要書類に加えて、地域の珍しい野菜や、自家製のおじゃこなどが。早速その日のうちに、いただいちゃいました。

昨冬、我が家が全員同時にインフルエンザで寝込んだときは、この宅配便がどんなにありがたかったか! 一歩も外に出られない悪夢のあの一週間を乗り切ることかできたのは、妹からのうどんセットと、母の食材の玉手箱のおかげでした。感謝!

このように両親を中心とした3家族間では、LINEで情報を共有し、宅配便で物を共有する。食材の行き来は冷蔵庫の共有化ともいえるかもしれませんね。

おかげさまで地理的距離は変わらないのに、家族の気持ちを共有することで、精神的な距離は縮まっているように感じています。まるでひとつ屋根の下で暮らしているかのような「仮想三世帯住宅」が実現しているのかもしれませんね。

文/進藤晶子(しんどう・まさこ)
昭和46年、大阪府生まれ。フリーキャスター。元TBSアナウンサー。現在、経済情報番組『がっちりマンデー!!』(TBS系)などに出演中。

 

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