家でも、職場でも、居場所がなかった

兄は大学を卒業して就職を機に家を出て、姉と奈央子さんはそのときまだ高校生。実家での居心地が悪いと思いつつも、親の希望で短大を卒業して就職後も実家で暮らし続けた。1歳違いの姉は美容の専門学校に進み、美容師になる。姉も同様に就職後も実家で暮らし続けたという。

「両親は女の子に学はいらないという考え方なので、2年で終了する短大や専門学校への進学を勧められました。世間体的に高卒じゃなかったらいいだろうと。姉は美容の専門学校に進み、そのまま美容師になり、美容院へ就職しました。

一方の私は、実家から通いやすい短大へ進学し、栄養士の資格を取得したのですが、あまり資格を活かせないドラッグストアに就職しました。

姉も私もお給料が少なくてすぐに実家から独り立ちすることができず、そのまま2人とも実家に居座り続けました。就職してからは、お互いの存在を無視するような感じでしたね」

奈央子さんが勤めたドラッグストアには、長年パート勤務を続けるスタッフがいた。奈央子さんは、その人のいじめの標的にされてしまう。さらにそのことの相談に親身になって乗ってくれていたはずの店長(上司)からプライベートな誘いを受けるようになり、心身共に疲弊していった。

「入社して店舗に配属されてすぐに、何がきっかけかわかりませんが、いわゆるお局さんという方からいじめの標的にされてしまったんです。マニュアルはありつつも、店舗ごとに細かい取り決めなどはあるのに、それを一切教えてもらえず、見よう見まねでやって、間違って怒られる。そんな日々が続きました。

店長は最初は親身に相談に乗ってくれていました。ところがプライベートの誘いをされるようになってしまって。15歳ほど上の男性からそのような目で見られることが気持ち悪くて仕方なかったですね」

我慢しつつも仕事に通い続けたが、朝から涙が止まらなくなるなど不調が起こり、仕事に行けなくなってしまう。【~その2~に続きます】

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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