取材・文/ふじのあやこ
昭和、平成、令和と時代が移り変わるのと同様に、家族のかたちも大家族から核家族へと変化してきている。本連載では、親との家族関係を経て、自分が家族を持つようになって感じたことや、親について、そして夫や妻、子どもについて思うことを語ってもらい、今の家族のかたちに迫る。
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株式会社ビースタイル ホールディングスが運営する「しゅふJOB総研」では、「世帯年収とゆとり」をテーマにアンケート調査(実施日:2024年7月25日~2024年8月1日、家周りの仕事について「同居家族はいるが主に自分が担当」または「同居家族と自分で概ね平等に担当 」のいずれかを選択した420人、インターネット調査)を実施。「今あなたのご家庭は、家計にゆとりがありますか?」との問いに対して、ゆとりがあると回答したのは27.1%となった(十分ゆとりがある2.6%、どちらかといえばゆとりがある24.5%)。一方、ゆとりがないと回答したのは65.5%だった(どちらかといえばゆとりがない34.5%、全くゆとりがない31.0%)。
今回お話を伺った由美佳さん(仮名・44歳)は、自身は標準家庭よりもやや裕福な家で育ったと思っていた。しかし、父親の転職をきっかけに家計のゆとりはなくなっていたという。そのことに気づいたのは由美佳さんが大人になってからだった。【~その1~はこちら】
祖母の貯金で実家のローンを完済したことを知る
由美佳さんは同棲相手の男性と27歳のときに結婚。結婚式ではお互いの家から各100万円ほどの援助を受けたという。
「親に援助をしてほしいと頼んだわけではなく、お互いの親が結婚が決まったときに渡す用のお金を用意してくれていたんです。お互いの祖父母に介護が必要だったので、配慮が必要な場所を選ぶことになり、海外ウエディングに憧れはあったのですが、断念することになりました。でも、地元近くでアットホームな式ができて満足しています。夫は高校の同級生で地元が同じだったので、特に何かで揉めることもありませんでした」
由美佳さんの結婚から3年後に祖母が亡くなる。誤飲性肺炎を起こして入院、その入院期間に亡くなってしまったという。葬儀後に実家に戻ったときに、実家のマンションのローンを祖母が支払ったことを知る。
「父親には弟がいるんですが、葬儀の後の会食の席でその人、私の叔父がお酒の勢いに任せて愚痴っていたんです。『兄貴は母さんの老後の資金をすべて使い切った』と。私はその発言が気になり、祖母を亡くした後の父親に聞くのは気が引けたので、私の母にこっそり聞いたら、実家のローンを払ってくれたと。それだけだとそのときは言っていたので、叔父のことを器が小さい人だと思っていました」
由美佳さん夫婦には子どもはいなかったが、姉夫婦が子どもを連れて帰ってきたときには孫のために色んなことを両親はしてあげていたという。そんな姿を見て、由美子さんは親の老後の心配は一切していなかった。
「家のローンも完済して、家の支払いはマンションの共益費ぐらいだと言っていましたし、母親は働いていなかったけれど、父親は仕事を60歳まで正社員で、その後嘱託社員になって65歳まで続けていた。姉家族への対応もあって、うちにはお金はあると思っていました」
【親には年金だけでは返しきれない額の借金があった。次ページに続きます】