取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです。

昭和、平成、令和と時代が移り変わるのと同様に、家族のかたちも大家族から核家族へと変化してきている。本連載では、親との家族関係を経て、自分が家族を持つようになって感じたことや、親について、そして夫や妻、子どもについて思うことを語ってもらい、今の家族のかたちに迫る。

アンファー株式会社が展開するデリケートゾーンケアブランド「Femtur(フェムチャー)」は、全国20~60代の女性を対象に「性交痛に関する調査」(実施日:2024年11月、全国20~60代女性500人、インターネット調査)を実施。性行為中にデリケートゾーンの痛みを感じたことがあると回答した女性は全体の41%にものぼった。その原因に関して64.3%が「腟の乾燥」と回答。また、心理的な原因には「拒否」や「ストレス」、「緊張」が上位に挙がる結果となった。

今回お話を伺った佳菜子さん(仮名・45歳)は、30代のときにがんを患い、10年間という長い投薬期間によって妊娠が望めなくなってしまった。【~その1~はこちら

子どもを産めないという負い目があった

妊娠するためには、治療を一旦やめる必要があった。佳菜子さんは妊娠を望んでいたが、同時に恐怖もあったという。

「親は子どもがいなくても夫婦2人で楽しめることがいっぱいあると言ってきました。投薬を10年から5年にすると再発する確率が少しだけ上がる。そのリスクを私に負ってほしくないと。

夫からは、子どもが絶対ではないとしつつも、私がどうしても欲しいのであれば反対はしないと言ってくれました。家族の意見と主治医の意見、そして自分の気持ちから、10年間薬を飲み続けることを決めました」

子どもを諦めた後も佳菜子さん夫婦の性生活は続いた。元々妊活をしていたわけではなく、妊娠目的の性行為ではなかったからか、その頻度が落ちることはなかったという。しかし、徐々に佳菜子さんは性行為に苦痛を感じるようになる。更年期障害になってしまったからだ。

「私は投薬と注射によって女性ホルモンの分泌が減少していたので、偽閉経状態だったんです。これによって膣の状態が悪くなり、性行為に痛みが伴うようになっていきました。

でも、私はそれを我慢し続けました。子どもを作れなくなったという夫に対する負い目があったからです。性行為を拒否したら夫に捨てられると、当時は思っていたのかもしれません」

夫は性生活に避妊をすることはなくなった。それ自体は問題なかったが、心無い言葉に佳菜子さんは深く傷ついてしまったという。

「夫婦だから、妊娠しなくなっているから、避妊しないこと自体に文句を言うつもりはありませんでした。でも、夫から『妊娠しないから避妊する必要がなく楽』と言われて……。私のことをすごく下に見ているんだなって思って、ショックでしたね」

【更年期障害を夫に理解してもらいたいと思えなかった次ページに続きます】

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