親には年金だけでは返しきれない額の借金があった
裕福だと思っていた両親が由美佳さんに頼ってきたのは父親が定年してから。今まで親とお金の話を一切しなかったが、定年後に生活水準を下げないといけないのであれば援助したいと由美佳さんから申し出たときだった。
「父の定年後の話は姉と2人でよくしていたんです。でも、姉は楽観的というか、親の裕福な暮らしぶりを見て、援助の必要はないと私に言いました。私もそうだとは思いつつも、我が家は夫婦だけで共働きと少しゆとりがあったこともあって、姉に相談なく、実家に帰省したときに『年金だけで大丈夫なの?』と両親に聞いたんです。そしたら、最初は援助は大丈夫だと言っていたんですが、その後にお金の話になったときに、親は借金があることを伝えてきました」
由美佳さんは夫と姉に相談して、親の借金を完済した。そして親のお金について家族で話し合うことに。家は父親の転職で収入が大幅に減ったものの生活の質を下げることができずに、今の状態に陥ってしまったことがわかったという。
「私たちも悪いんです。私たちの大学資金などは親の貯金で賄っていたのに、何も知らずにただ卒業しただけの私立大学に通っていたんですから。
大学資金で貯金をなくし、その後は生活費で少しずつお金を借りていたと。祖母の貯金で家のローンと生活費はなんとかなったみたいなのですが、借金を減らすまではいかなかったようで、定年後はどうしたらいいかわからなかったとのことでした」
生活レベルは一度上がると元に戻すのは難しいと言われている。しかし、実際難しいのは、周囲に見せていた外面の生活レベルを落とすことができないことだという。由美佳さんの両親は実家のマンションを手放し、姉夫婦の近くの賃貸マンションで生活をしており、借金はしていない。生活レベルを下げるためには、生活環境や人間関係も変えることが必要になるようだ。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。