生命保険に加入している皆さんは、その仕組みや必要性をよく理解していますか? インターネットやSNSでは「保険はいらない」といった記事も見受けられますが、本当に必要ないのでしょうか? 今回は「終身保険」にスポットを当てて、終身保険の仕組みや必要性などについてみていきましょう。
100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。
目次
終身保険とは
終身保険の種類
終身保険はいらないといわれる理由は?
60歳の払込満了後はどうなる?
まとめ
終身保険とは
終身保険について、どのような保険なのかご存じの人も多いのではないかと思いますが、まずは簡単におさらいしておきましょう。
終身保険とは
終身保険は、保障期間が一生涯続く生命保険です。被保険者が死亡または、保険会社所定の高度障害状態になった際に、加入時に定めた保険金が支払われます。医療保険で保障が一生涯続くものを「終身医療保険」と呼んでいますが、一般的に「終身保険」というときには死亡保障の生命保険のことを指します。
生命保険には他にも、「定期保険」や「養老保険」といった保険がありますが、どちらも保険期間が一定期間に定められる「有期保険」であり、大きな分類でいうと保険は「終身保険」と「有期保険」に分けることが出来ます。
保険料払込期間
終身保険の保険料払込期間は、以下のとおりです。
<終身払い>
一生涯保険料の支払いが継続します。有期払いと比べると保険料は割安です。
<有期払い>
60歳払済や65歳払済といったように、あらかじめ保険料払込期間を決めて保険料を支払います。終身払いと比べると、保険料は割高になります。
<一時払い>
加入時に保険料を一括で支払います。保険料は、終身払いも有期払いも払込期間中一定で、途中で上がることはありません。
・解約返戻金
解約した場合には、払い込んだ保険料の一部を解約返戻金として受け取ることが出来ます。
・加入の目的
終身保険は死亡保障の生命保険ですので、基本的には自分が亡くなった場合の遺族に対しての保障を目的とします。一般的には、自分が亡くなった時の葬儀費用・遺品整理などにかかる費用を準備することを目的としているケースが多くみられます。この他に、相続対策や将来のための貯蓄(解約返戻金の活用)を目的とするケースもあります。
終身保険の種類
終身保険にはいくつか種類がありますが、一般的な商品とは違う種類のもので、最近よく取り扱われている4つの種類についてみていきましょう。
低解約返戻金型終身保険
低解約返戻金型終身保険は、一定期間の解約返戻金が通常の終身保険より低く抑えられている終身保険です。保険料払込期間が終了した後に、通常の終身保険と同等の水準となります。解約返戻金が少ない分、通常の終身保険に比べて割安な保険料となります。
積立利率変動型終身保険
積立利率変動型終身保険は、市場金利の変動に応じて一定期間ごとに積立利率が見直される保険です。市場金利が上昇し積立利率も上がることで、解約返戻金や保険金の増加が期待できます。死亡保険金や解約返戻金の最低保障が決められており、市場金利が下落しても契約時の最低保障額を下回ることはありません。保険料は、一般的な終身保険よりやや割高の傾向です。
変額終身保険
変額終身保険は、払い込んだ保険料を保険会社が株や債券で運用し、その運用実績に基づいて、保険金や解約返戻金の額が変動する終身保険です。死亡保険金額は最低保障があるため、元本割れの心配はありませんが、解約返戻金には最低保障はありません。同じ死亡保険金額を確保する場合、他の終身保険よりも保険料が割安になります。
外貨建て終身保険
外貨建て終身保険は、日本円ではなくドルやユーロなど外貨で保険料を支払い、運用され、保険金の支払いを受ける終身保険です。最終的に、保険金や解約返戻金は円換算して受け取ることになるので、為替変動の影響を受けるため、払い込む保険料・保険金・解約返戻金は変動します。
終身保険はいらないといわれる理由は?
インターネットやSNSなどで、「終身保険はいらない」といった意見を見ることがあります。その理由についてみていきましょう。
終身保険はいらないといわれる理由
終身保険は必要ないという理由は、主に次の3つのようです。
1.貯蓄で備えればいい
支払う保険料分を貯蓄に回して備えておくことで、保険は必要ないという意見です。
2.遺族年金がある
遺族年金制度があるため、国民年金や厚生年金の被保険者が亡くなった場合、条件を満たした遺族がいれば遺族基礎年や遺族厚生年金が支払われます。このため、終身保険で備える必要がないという考え方もあるようです。
3.ほかの金融商品を利用すればいい
解約返戻金を活用する目的である場合、終身保険の解約返戻金よりも高い利回りを期待できる、ほかの金融商品を選択すればいいという意見があります。
1や2については、自分が亡くなった時に必要な資金が、遺産や遺族年金では足りないケースも考えられますので、一概に終身保険がいらない理由にはなりません。3については、「高い利回りの金融商品」を選ぶ時にはリスクも確認した上で、慎重に選ぶ必要があります。
いずれにしても、終身保険が必要かどうかは人それぞれの目的や家族構成、資産状況などによって検討するべきことですので、安易に「終身保険はいらない」と決めてしまうことは危険です。
60歳の払込満了後はどうなる?
終身保険の場合、保険料の払い込みが終わっても保障は一生涯続きます。ただし、終身保険を主契約として「定期保険」や「医療保険」に該当する保障を、「特約」で付加している場合の特約部分については、通常主契約の終身保険の保険料払込満了と同時に保障が終了します。
特約を継続したい人は、終身保険の保険料払込満了時に特約の保険料を一括して前納、もしくは分割払により払い込むことで、原則80歳まで(生命保険会社によっては一生涯)継続可能です。この場合、10年毎など一定期間で特約部分の保険料は、年齢に応じて割高となっていくケースもあるので注意が必要です。
まとめ
終身保険は、相続対策や解約返戻金の活用を目的として加入するケースもありますが、生命保険の本来の目的は残された遺族の生活に影響を与えないように準備しておくことです。必要であるかどうかは自分のライフプランを作り、判断することをおすすめいたします。何のために加入するのかを正しく理解しておくことは、とても重要なことなのです。
さまざまな金融商品が出回っている世の中だけに、あなたの味方になって守ってくれる相談相手を持つことが必要な時代になっています。
●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)
株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
問い合わせ先:03-6403-5390(株式会社SMILELIFE project)
株式会社SMILELIFE project(https://www.smilelife-project.com)
●編集/京都メディアライン(HP:https://kyotomedialine.com FB)