周囲よりもできる自分に酔った結果、中学からいじめの対象に
習い事をしていたことで周囲から一目置かれることもあり、優越感に浸ることも多かったという。
「学校の合唱の会や、音楽会などでピアノを担当したり、そろばんをやっていたからなのか数学が得意になって先生から褒められることも多かった。器械体操のおかげで運動神経も周囲よりよかったし、水泳の授業でも泳ぎ方の手本として全員の前で泳ぐこともありました。
小学校の高学年からは母親の意向で水泳とそろばんをやめて、英会話と塾が始まりました。相変わらず忙しかったんですが、その頃には習い事は周囲よりできる自分でいるために必要なことだと思っていました」
「周囲よりもできる自分」という考えが中学のときには周囲との軋轢を生み、いじめの対象となってしまう。
「当時を振り返ると、いじめられても仕方ないくらい本当に性格が悪かったんです。友だちのことさえ、口には出さないまでも見下していましたから。
いじめは直接手を加えられることなく、無視だけだったのでまだマシでした。私は成績がよくて先生から気に入られていたこともあって、それだけで済んだのかなと思っています」
周囲よりも器用なことに加え、裕福な家も愛佳さんのプライドを保つ1つの要素だった。しかし、父親の事業が失敗してしまい、以前のような贅沢はできなくなってしまう。
「中学生のときに、父親の仕事が失敗した。詳しくは知りませんが、一緒に事業をやっていた人が失敗して共倒れになったと聞いています。それで、塾以外の習い事をやめることになりました。母親からは『受験もあるから塾にだけ行って、勉強に集中しなさい』と言われましたが、その言葉を素直に受け入れられずに、当時は勝手な親にイライラしました」
母親は家から1時間以上もかかる場所で働き始め、私に干渉しなくなった。
【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。