取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです。

昭和、平成、令和と時代が移り変わるのと同様に、家族のかたちも大家族から核家族へと変化してきている。本連載では、親との家族関係を経て、自分が家族を持つようになって感じたことや、親について、そして夫や妻、子どもについて思うことを語ってもらい、今の家族のかたちに迫る。

物価高が続き、生活苦を訴える人も多い。その一方、習い事をさせるなど子どもの教育のためにお金を惜しまない層もいる。株式会社しんげんが運営する主婦向けの情報メディア「SHUFUFU」は、「子供に習わせて良かった習い事」に関するアンケート調査(実施日:2024年1月、有効回答数:男女200人、インターネット調査)を実施。アンケートでは、「子供に何歳から習い事をさせた?」の問いに対して最も多かったのが「5歳(22.5%)」で、次いで「4歳(18%)」、「3歳(17.5%)」という結果となった。小学生に入る前に習い事をさせている人が60%以上となっている。

今回お話を伺った愛佳さん(仮名・42歳)は裕福な家で育ち、プライベートな時間がないほどに習い事を複数掛け持ちしていたという。

自分の意思で習い事を始めたから、自分の意思でやめられなかった

愛佳さんは両親との3人家族。父親は大手商社に勤めた後に友人と事業を立ち上げており、愛佳さんは小学校の頃から自分が恵まれた環境であることを理解していた。

「私が生まれ育ったところは、電車で30分ほどで県の都心部に行くことができるようなベッドタウンで、周囲にはニュータウンという名前のところがたくさんありました。住宅街には団地や一軒家が多く、そんな中で私は10数階建ての分譲マンションに暮らしていました。そこまで高いマンションは当時周囲にはなくて、上層階に住んでいたこともあり、友人が私の家のベランダの景色を見によく遊びに来ていて、自分の家について誇らしい気持ちになっていたことを覚えています」

愛佳さんは母親の意向で複数の習い事を幼稚園に入る前から始めていた。

「スイミングはいつ始めたのか覚えてないくらい小さい頃からで、幼稚園の頃にはピアノ、小学生に上がると習字、そろばん、器械体操を習っていました。水泳とそろばんは週に2回あるときもあって、そろばん終わりにピアノ、習字終わりに水泳ということもありました。毎日家に帰る頃にはグッタリしていてすぐに寝ていたので、友人が夜に見ていたアニメの話などについていけないことも多かったです」

複数の習い事をやめたいと思うことも多かったが、それを母親は許してくれなかったという。

「習い事を始めるときには、まず母親は私を見学に連れていき、私の『楽しそう、やりたい』という言葉を引き出します。母親から習い事のいいところばかりを聞かされていると、あんなに泳げたら楽しいだろうなとか、ピアノも上手にできるようになったらあの曲を弾きたいと思いました。

でも、当たり前ですがレッスンは楽しいことばかりではなかった。母親に習い事をやめたいと訴えたことは何度もありますが、『あなたがやりたいと言ったから始めたのに』と母親は残念そうに私に言ってくるんです。それを言われるとやめることに罪悪感がすごくあって何も言えなくなっていました。続けることしかできず、自分の意思でやめられた習い事は1つもありません」

【周囲よりもできる自分に酔った結果、中学からいじめの対象に。次ページに続きます】

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