取材・文/ふじのあやこ
昭和、平成、令和と時代が移り変わるのと同様に、家族のかたちも大家族から核家族へと変化してきている。本連載では、親との家族関係を経て、自分が家族を持つようになって感じたことや、親について、そして夫や妻、子どもについて思うことを語ってもらい、今の家族のかたちに迫る。
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物価高が続き、生活苦を訴える人も多い。その一方、習い事をさせるなど子どもの教育のためにお金を惜しまない層もいる。株式会社しんげんが運営する主婦向けの情報メディア「SHUFUFU」は、「子供に習わせて良かった習い事」に関するアンケート調査(実施日:2024年1月、有効回答数:男女200人、インターネット調査)を実施。アンケートでは、「子供に何歳から習い事をさせた?」の問いに対して最も多かったのが「5歳(22.5%)」で、次いで「4歳(18%)」、「3歳(17.5%)」という結果となった。小学生に入る前に習い事をさせている人が60%以上となっている。
今回お話を伺った愛佳さん(仮名・42歳)はプライベートな時間がないほどに習い事を複数掛け持ちしていたというが、父親の失業に伴い、塾以外の習い事をやめることになっていた。【~その1~はコチラ】
親からの干渉がなくなり、勉強する意味がわからなくなった
父親はすぐに次の仕事を見つけて働き出したが、年収は大幅に減ったことで父方の祖母と同居することになる。同居とほぼ同時期に母親が外で働くことになり、母親からの干渉はなくなったという。
「後から聞いた話なんですが、祖母が私たち家族が暮らすマンションのローンを払ってくれたみたいです。当時は祖母が暮らしていた家を手放したから同居するとしか聞いていませんでした。
父親の収入が減ったことで母親もパートに出るようになりました。母親のパート先は近所ではなく、車で1時間ほどかかる場所でした。それは周囲への見栄で働き出したことがバレたくないからなのか、祖母と一緒に過ごしたくないのかはわかりません。でも、家にほとんどいなくなったので、母親からの干渉がなくなり、私はそれがうれしかったです」
愛佳さんは希望の高校に進学する。そこではいじめられることもなかったが、愛佳さんの成績は一気に下がってしまう。
「なんのために勉強しているのか、わからなくなったんです。進学校では私の成績は中の中ぐらいで、最初から周囲に期待されることもなかった。それに、成績が落ちたとしても母親はもう何も言ってこなくなっていましたから。何も言ってこないんなら、もういいやって勉強しませんでした」
大学に行ってまでやりたいこともなかったが働きたくない思いがあり、私立大学に進学。奨学金を借りることなく、大学費用は親が払ってくれたという。
「進学校だったので、ほとんどの人が大学へ進学を希望していたんです。だから、私もって思いました。大学費用についても、そのときには両親は共働きだったこともあって、お金が負担になるかなんて考えもしませんでした」
【離婚理由になるほどの借金が父親にはあった。次ページに続きます】