取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです。

一緒にいるときはその存在が当たり前で、家族がいることのありがたみを感じることは少ない。子の独立、死別、両親の離婚など、別々に暮らすようになってから、一緒に暮らせなくなってからわかる、家族の大切さ。過去と今の関係性の変化を当時者に語ってもらう。

ARINA株式会社が運営する幼児、小学生の親御さん向けの教育メディア「おうち教材の森」では、「子どもにイラっとした時の自分のアンガーマネジメント」に関するアンケート調査(実施日:2023年6月28日、有効回答数:日本全国の中学生以下の子どもを持つの親200人(10代:0人、20代:14人、30代:111人、40代:69人、50代:6人、60代以上:0人)、インターネット調査)を実施。子どもにイラっとしたときの対処法のトップ3は「一旦その場を離れる」「深呼吸して冷静になれるようにする」「相手の立場で考えてみる」となり、親は怒りを子どもに向けないように努力していることがわかる。

しかし、今回お話を伺った比奈さん(仮名・41歳)の母親は一度気に食わないことがあると手がつけられないほどの癇癪を起こし、その怒りを比奈さんにぶつけていたという。

母親は癇癪持ち。父は私を置いて母から逃げた

比奈さんは両親との3人家族。母親は専業主婦で家事にはマイルールがあり、母の意向に添わないことがあるとイライラが止まらずに癇癪を起していたという。

「母親の家事には細かいルールがあって、冷蔵庫に入れているものの使う順番が決まっていたり、テーブルの上に置いていいものの個数が決まっていたり……。冷蔵庫の中のものは賞味期限がたとえ同日のものでも母親が決めた順番通りに使わないと『なんでできないの!』と怒りをぶつけられていました。

特にひどかったのは、片付けです。テーブルの上は食事が終わるとすぐにでもお皿はさげないといけなくて、まだ食べるつもりで少しの間残していただけでも、『何でできないんだ!』『何度言わせるんだ!』って最初から100%で怒ってきました。『バカ!』『グズ!』とかもありましたね。注意というレベルの怒りは一切なく、最初からMAXの罵声を浴びせられていました」

罵声は比奈さんが謝ったとしても30分以上続くこともあった。また、怒りは比奈さんだけでなく、父親にも同じ音量で罵声が飛ぶ。そのうちに父親は「冷蔵庫の中のものを食べるのが嫌になった」と、毎日お弁当を買って帰ってくるようになっていた。

「母親は少しでも言い返すとより激高するタイプだったので、父親は最初こそ言い合いになっていましたけど、もう疲れたんだと思います。母親はお弁当を食べる父親に対してご飯を用意しなくなりました。

そのお弁当の容器を捨てるゴミ箱が別に用意されるようになって、それを父親がゴミ回収日に自分で捨てに行く姿を見て、もう両親の仲は修復することはないんだろうなって悟りました」

両親が離婚したのは比奈さんが中学生のとき。母親は「お前に子育てはできない」と父親を家から追い出し、比奈さんと母親との2人暮らしが始まった。

「父親とはそこまで一緒にいた記憶はないんですが、それでも母親ではなく、父親と一緒に暮らしたかったです。離婚すると伝えられたとき、父親は私に申し訳なさそうな顔をしただけで目を合わすことなく家を出て行きました。

私のことをどちらが引き取るかの話があったかどうかは知らないんですが、母親の『何もしなかったくせに!』『お前に子育てができるわけない!』と父に怒鳴っている声は別の部屋から聞こえていたので、父は面倒なことを避けて、私の前からいなくなったんだと思います」

【母親が再婚して、再び母の怒りの矛先が1から2になった。次ページに続きます】

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