取材・文/ふじのあやこ
一緒にいるときはその存在が当たり前で、家族がいることのありがたみを感じることは少ない。子の独立、死別、両親の離婚など、別々に暮らすようになってから、一緒に暮らせなくなってからわかる、家族の大切さ。過去と今の関係性の変化を当時者に語ってもらう。
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離婚の課題解決型マッチングメディア「リコ活」を運営する株式会社リライフテクノロジーは、離婚経験者を対象に「離婚後の人生の歩み」に関する調査(実施日:2023年11月29日~2023年11月30日、有効回答数:1005人、インターネット調査(モニター提供元:ゼネラルリサーチ))を実施。「離婚して良かったこと・辛かったこととは?」の問いに対して、良かったことの1位は「ストレスが軽減された(50.5%)」、辛かったことの1位は「特にない(34.1%)」となり、ストレスから解放されるなど離婚して良かったと感じている人が多いことがわかった。
今回お話を伺ったまり子さん(仮名・42歳)は、小学校に上がる前に両親が離婚。母親のおかげでまり子さんは寂しいと思うことはなかったが、近所からの「母子家庭であの子は寂しい思いをしている」という目で見られることが多かった。
【~その1~はコチラ】
実家のお金をすべて負担することが親孝行だと思っていた
まり子さんは家からバス1本で通える高校に進学する。その学校は進学校で、当時のまり子さんの学力に見合ったところだった。しかし、交通費のかからない近場の高校を選んだと、憐みの目を向けられたという。
「父親や祖父母から『ちゃんと行きたいところを選んでもいい』と言われました。担任と母親との三者面談でちゃんと話し合って決めた学校なのに、交通費とかを考慮して近場を選んだと思われているようでした。周囲からだけでなく、親族からもそんな同情の目を向けられるんだって思いましたね。違うといくら説明しても、きっと強がっているというふうに受け取られるんだろうなって思って、もう私からは『そんなことないよ』とだけ言って、その話を終わらせました」
高校を卒業後は母親の希望もあり、大学に進学。母親が入ってくれていた学資保険のおかげで奨学金を借りることなく、父方の親族に頼ることなく卒業する。就職後も実家から通い、家の家賃を負担し、家事も率先して行うなど、母親を助けたい気持ちでいっぱいだったという。しかし、そんな生活は母親の一言で終了した。
「早く社会人になって、母親を支えたい一心でした。大学は母親に行ってほしいとずっと小さいころから言われていたので、そこだけは甘えさせてもらって、その分お金を稼げるところに就職してやるって思っていましたね。社会人になるとすぐに実家の家賃や光熱費など8万ほどを負担すると母親に宣言して無理やり実行しました。母親からは家賃光熱費を含めて3万ほどで大丈夫と言われたんですが、押し切ったんです。
そんな生活を2年ほど続けたとき、母親から『もういい大人なんだから1人暮らしをしなさい』と言われました。そして、今までの私が払った家賃などの全額が入った通帳を渡されました。そのときに、母親は自分のためにお金を使ってほしくなかったのかもしれないと思いましたね。お金を使わずに置いていてくれたことに対していい母親だと思うところかもしれませんが、私は自分のしたことが無駄だと、迷惑だと突き返された気分だったんです」
【本音でぶつかれば母親は本音を返してくれる。次ページに続きます】