母親が再婚して、再び母の怒りの矛先が1から2になった
比奈さんが高校生になったとき、母親は同い年の男性と再婚。それに伴い、母親と比奈さんは義父が用意した家に引っ越しをした。あまりよく知らない男性との同居に対して「不安はなかった」と比奈さんは言う。
「他人と同居することの不安より、母親の怒りのターゲットが私1人から2人になることの喜びのほうが大きかったから。
義父とは再婚する前に何度か一緒に食事をしたことがあったんですが、温厚なイメージでした。3人で食事しているときの母親は借りてきた猫のようにおとなしかったから、母親の本性を知ったらすぐに義父は逃げ出すんじゃないかなって思っていました。だから、短期間なら義父の本性がどんなのでも関係ないって考えていたから、不安はなかったのかもしれません」
案の定、母親は義父にも罵声を浴びせるなど、家で癇癪を起こし続けた。義父は最初こそ母親をなだめるように寄り添っていたが、やがて無口になり、母親の怒りに対して無関心になっていったという。
「まるで自分を見ているようでした。私はアルバイトを週5から週7入れて、家には寝に帰るような毎日を送っていたので少ししか知らないんですが、その少しでさえそんな状態でしたからね。
私は冷静に、離婚したらこの家を出て行かないといけないんだろうなとか、その前に私も一人暮らししたいな~とかを母親の罵声が響く中で考えていました」
しかし、義父は母親と別れなかった。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。