夫は自分の両親に嘘までついて私を守ってくれた
同居男性は、有香さんの上京前に彼女の要望を加味した新居を探してくれていて、上京とともに同居がスタートした。彼は積極的に子どもと遊んでくれたり、家事を行ってくれたという。
そこから6年、彼とはプラトニックな関係のままだったが、恋愛期間もなく入籍することになった。
「私に病気が発覚して入院や手術することになって。幸い大事には至らなかったのですが、その後の投薬治療で体調を崩しがちになってちゃんと働けなくなったんです。その経緯を知って、彼はプロポーズをしてくれました。
娘も彼に懐いていたので、彼に対して好きという感情があるのかよくわからなかったものの、OKしました」
同居期間は、美香さんが働くようになってからは家のお金を折半していて、3人揃っての外食などイレギュラーなものは相手の男性が払ってくれていた。入籍して家族になったことで投薬の副作用が落ち着くまで専業主婦として過ごすことに。相手の家族に病気のことを伏せて結婚したことで後ろめたい気持ちが残ったという。
「婦人科系の疾患で、薬は女性ホルモンに関連するものなので投薬中は子どもが産めません。投薬期間は10年。飲み始めた当時は36歳で、まだ子どもを望める年齢でしたが、そこから10年となると子どもは諦めるしかなかった。そのことを夫は受け入れてくれましたが、義両親には病気のことは伝えずにいたので、後ろめたい気持ちが残りました。夫は1人息子で、40歳手前での結婚だったこともあり、義両親はとても喜んでくれていたんです。義両親は連れ子のいる私を快く受け入れてくれた分、後ろめたい気持ちは強かったです」
有香さんは現在も投薬中であり、2人の間に子どもはできていない。義両親には夫の提案で夫に不妊の原因があるとしているという。
「『自分に不妊の原因があるとわかるとうるさくは言ってこないから』と、夫は孫の催促についての矢面に立って、嘘までついてくれました。
夫は私の家族とも積極的に交流してくれて、今度妹家族と私たち家族で旅行の計画があります。あのとき軽い気持ちで上京したけれど、本当に東京に戻ってきてよかったと思っています」
ひとり親の人たちは子どもが懐くかどうかが再婚の判断基準となるという。有香さんの再婚の経緯はイレギュラーなケースではあるが、結婚よりも前に連れ子との仲を深めていたことがよい結果につながったようだ。いかに再婚相手と子どもとの相性を見極めることが大切か、ということを感じた。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。