取材・文/ふじのあやこ
離婚、再婚などで複雑化する家族関係。血縁のない家族(義家族)との関係で生じる問題、そして新たに生まれたものを、当人にインタビューして、当時感じた素直な気持ちを掘り下げます。【~その1~はコチラ】
今回お話を伺ったゆかりさん(仮名・36歳)は家事を完璧にこなす母親を見て育ち、自分も結婚後は当然のように家事を精一杯やるつもりで、夫の了解も得ずに仕事をやめてしまう。その結果、義実家から徒歩圏内にある夫の親族のマンションで暮らすことになる。
「親族の荷物で使えない部屋があるものの、家賃は格安。今の自分たちの収入では暮らせないような立派なマンションなので満足していました。ただ、期限付きであり、戻ってくるときに汚れていると思われないように、とにかくキレイを保つために毎日掃除をしていました。
普通の賃貸で暮らすよりもマメに掃除をして家はいつもピカピカだったので、最初は専業主婦に難色気味だった夫も私の主婦ぶりに感心してくれていました」
義実家の台所は小さい虫の死骸だらけだった
結婚して初めて迎えるお正月に向けて、誘われるがままに義実家で一緒におせち作りをすることに。そのときに悪臭を放つほどの台所に初めて気づく。
「結婚の挨拶と引っ越しの挨拶に訪れただけで、それ以外は外食か私たちの家に義母が来ることのほうが多かったので、そのときに台所に初めて足を踏み入れたんです。
私は潔癖気味ではあったけれど、普通の人でもあの排水溝のニオイや、錆やヌメリだらけのシンクで料理する気にはならないと思います」
よく見ると、フライパンにも過去の食べ物がこびりついており、電子レンジには炭化したような突起物が全面にビッシリついていた。あまりの汚れ具合に「まずは掃除からしていいですか?」とゆかりさんから義母に頼んで掃除をスタートさせたという。
「もう目に入るもの全てが汚かったです。冷蔵庫や食器棚や至るところに何の汚れかもわからないような細かい白いカスが散乱していました。
『洗剤で肌が負けてしまうので』と嘘をついてすぐに近くのスーパーで手袋や掃除道具を購入。その日はキッチンの掃除だけでおせち料理には一切取り掛かれませんでした。その白いカスに紛れて虫の死骸をたくさん見つけたとき、泣きそうになるのと吐き気を我慢するので必死でしたね」
【「専業主婦の仕事を奪ったら悪い」と片付ける概念すらない夫。 次ページに続きます】