過去に出席した披露宴で、親御さんがゲスト一人ひとりに、挨拶回りをしている姿を見かけたことのある方は多いのではないでしょうか? 近年の結婚式は、昔と異なり「親はあまり前面に出てこない」といった印象が強い傾向にあります。しかし、「親の挨拶回り」は省かずにきちんと行ないたいと考える方も、一定数はいらっしゃるようです。
親としては、結婚式当日は多くの役割があるので、ゲストをもてなすことにいっぱいいっぱいになるかもしれません。事前にある程度、挨拶回りのポイントを押さえておくことで、当日スマートに振舞えるでしょう。
本記事では、披露宴での挨拶回りのマナーや言葉かけの例文をご紹介します。
目次
披露宴での親の挨拶回りとは?
親の挨拶回りのマナー
挨拶回りの相手別言葉かけの例
挨拶回り時の注意点
最後に
披露宴での親の挨拶回りとは?
「披露宴での親の挨拶回り」とは、披露宴に来ていただいたゲストに対して、親として感謝の気持ちを伝える挨拶を意味します。お酌をしながらのスタイルが多いですが、目的は「ゲスト全員に挨拶すること」なので、一人ひとりにかける時間は短いでしょう。
「結婚式での親の挨拶回りは当たり前のこと」と思うかもしれませんが、最近の結婚式では、親の挨拶回りがないパターンも珍しいことではありません。
親の挨拶は、ゲストのお出迎えやお見送り時にも行なわれることから、「披露宴中に親が挨拶回りをしなくても、マナー違反にはならない」との見方があります。また、「親が披露宴中に挨拶に行くと、ゲストに気を遣わせてしまう」との理由から、敢えて挨拶回りを行なわないケースもあるのです。
「挨拶回りがない=失礼」というわけではありません。しかし、挨拶回りをすることで「丁寧な親御さんだったな」という印象をゲストに与えてくれそうです。
親としては、挨拶回りを行なうべきか迷うところですが、当日、親の独断で動くのは控えたいもの。相手側の親の考えも尊重しつつ、事前に両家で挨拶回りはどうすべきか相談しておきましょう。
親の挨拶回りのマナー
結婚式当日は、入念なタイムスケジュールで成り立っています。挨拶回りを行なう場合、進行を邪魔しないためにも、基本的なマナーを押さえておくと安心です。
ここでは、挨拶回りの方法やタイミング、声かけの順番をご紹介します。
挨拶回りの方法
披露宴中の挨拶回りは、父親と母親が揃って行なうスタイルが一般的です。お酌をする場合、お酒を飲まないゲストもいるので無理強いはしないようにしましょう。
多くの場合、自分側のゲストのみ挨拶回りを行ないますが、中には相手側のゲストにも挨拶回りをするケースもあります。しかし、挨拶回りは、限られた時間内に行なわなければいけないものです。時間配分を誤ると、「ゲスト全員に挨拶できなかった……」ということも考えられます。相手側のゲストまで挨拶をする場合、一人ひとりと長時間話し込まずに、短時間で全員回れるよう配慮が必要です。
時間が足りなさそうな時の一つの方法として、主賓以外のテーブルは、各卓まとめての挨拶となっても問題ありません。その場合、お酌はせずに挨拶だけでも良いでしょう。本来ならば一人ひとりに挨拶したいものですが、「行かないよりは良い」方法としてご紹介させていただきます。
挨拶回りのタイミング
一般的に、披露宴で歓談が始まったら、親の挨拶回り開始のタイミングです。
しかし、いくら歓談中であっても、料理がまだ配膳途中であったり、ゲストが食べ始めてすぐのタイミングだと、せわしなく思われてしまう可能性もあります。料理がゲスト全員に配膳され、少し落ち着いた頃がねらい目です。
主賓挨拶や友人のスピーチ・余興の間に動き回ることは、失礼にあたるので、挨拶回りは一旦休止しましょう。
料理がフレンチなどの洋風のコースの場合、テーブルマナー的には「お酌はふさわしくない」とされていることもあります。挨拶回りを行なう場合、ウエディングプランナーに事前に確認しておくと安心でしょう。
挨拶回りの順番
挨拶回りの順番は、
1:主賓
2:友人
3:親戚
の順に回ります。
結婚式前に、両家の親族紹介が行なわれる式場が多いので、親族への挨拶回りは長々とする必要はありません。まずは主賓・友人のゲストを優先させましょう。親族は、日頃の付き合いがあるなしに関係なく「主催者側」の立場なので、時間がなければ省略しても問題ありません。
挨拶回りの相手別言葉かけの例
披露宴での親の挨拶回りの言葉かけのポイントは、以下の4点。
1:自己紹介
2:結婚式にお越しいただいたお礼
3:その方ならではのエピソード
4:今後のお付き合いのお願い
事前に、挨拶の流れを決めておくと、当日慌てることなくスマートにお話できそうです。エピソードは、なかなか全員分は難しいでしょうが、あれば印象に残る会話ができるでしょう。
ここでは、相手別に言葉かけの例をご紹介します。
主賓の方への挨拶例
「新郎〇〇の父でございます。本日はご列席賜りありがとうございます。子どもがいつもお世話になっております。また、素晴らしいご祝辞賜りまして誠にありがとうございました。会社での◎◎様(主賓の名前)の優しくも熱心なご指導に、親子共々感謝しております。今後とも、どうぞ末長くよろしくお願いします」
子が勤務する会社の上司への挨拶例
「新婦〇〇の父でございます。本日はお忙しい中、結婚式にお越しいただきありがとうございます。娘からいつも、会社で△△様(上司の名前)に良くしていただいていると聞いております。今後ともご指導よろしくお願いします」
子の友人への挨拶例
「新婦〇〇の父でございます。今日はご遠方のところ、わざわざ結婚式に来てくれてありがとうございました。社会人になってからは、娘から◇◇さん(友人の名前)の活躍を聞いています。今後とも娘と仲良くしてくださいね。今日は本当にありがとうございました」
親戚への挨拶例
1:普段から頻繁に会う親戚
「本日はお忙しい中ありがとうございます。いつも○○(子どもの名前)を気にかけてくれて感謝しています。これからもよろしくお願いいたします」
2:冠婚葬祭のような特別な時にしか会わない親戚
「本日はご遠方のところ、ご夫婦そろってありがとうございます。お子さんたちは皆お元気でしょうか? また、こちらにお越しの際は、是非我が家にもお越しくださいね」
挨拶回り時の注意点
挨拶回りのタイミングやマナーを把握していても、ついうっかり、失礼なことをしてしまう可能性もゼロではありません。ここでは、挨拶回りの注意点をご紹介します。
お酒好きの人は、この日は控えめに
ゲストとお酒を楽しむのも良いですが、この日はあくまで、主催者側の人間です。飲みすぎて体調を崩してしまったり、酔っぱらって感情的にならないよう、親としての立場をわきまえて上品に振舞いましょう。
ゲストへの独身か既婚かの確認は控える
子どもの幼馴染など、親も顔見知りのゲストとの会話では、「もう◇◇ちゃんは結婚したの?」など、何気なく質問する方もいらっしゃるかもしれません。親としては、単に独身かどうかの確認だけのつもりでも、人によっては「触れて欲しくない話題」の可能性もあります。
ゲスト自らプライべートの話題を出してこられない限り、挨拶回りでは、相手のことを深く詮索するのは避けた方が良さそうです。
最後に
親の挨拶回りは、日頃子どもがお世話になっているゲストと、一対一で会話できる貴重な機会です。あまり難しく考えず、笑顔で「結婚式に参加してくれたことへの感謝」を伝えるだけでも、きっと場が和むでしょう。
監修/トップウエディング https://top-wedding.jp/
構成・執筆/吉川沙織(京都メディアライン)
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