結婚式に「媒酌人(ばいしゃくにん)」を立てることがございますが、具体的にはどのような役割か、ご存知でしょうか? 最近の結婚式では媒酌人を立てることは、珍しいケースなのかもしれません。

しかし、結婚式が簡略化されつつある時代の流れの中、あえて伝統的なスタイルの結婚式を行なうカップルも少数派ではありますが存在するものです。

仮に自分が媒酌人の依頼を受けたら、それは新郎新婦と両家の両親から信頼されている証です。ありがたく役目を引き受けるのが、マナーとされています。

ここでは、披露宴での媒酌人の役割や仲人との違い、お礼などについてご紹介します。

目次
媒酌人とは?
仲人との違い
媒酌人は必要か
媒酌人へのお礼
最後に

媒酌人とは?

媒酌人とは、新郎新婦の「理想の夫婦像」として手本になる夫婦に依頼する、非常に名誉のある役割です。結婚式当日に新郎新婦をリードする重要な存在ですが、具体的な役割は、主に以下の5つになります。

(1)ゲストのお出迎え・挨拶

媒酌人は招待されているゲストではなく、あくまで主催者側の立場の人間です。招待客から「本日はおめでとうございます」と声をかけられたら、丁寧にお礼を伝えます。

(2)新郎新婦と並んで披露宴会場へ入場

披露宴入場の際、係の誘導で媒酌人、新郎新婦の順番で入場し、そのまま新郎新婦の隣に着席します。

(3)新婦の付き添い(媒酌人夫人)

新婦の支度が終わり次第、控室で新婦に付き添います。新婦の緊張を和らげるような言葉をかけたり、体調を気遣います。お色直しがある場合、媒酌人夫人が新婦に付き添いサポートします。

しかし、あれもこれもと媒酌人夫人が動きすぎると会場の雰囲気を壊したり、新郎新婦に気を遣わせてしまう可能性も。気の遣い方にも注意が必要です。

(4)スピーチ(媒酌人)

披露宴では、媒酌人は「ゲストへの感謝」や「新郎新婦の紹介」のスピーチを行ないます。スピーチの内容は、事前に新郎新婦と打ち合わせ、原稿を準備しておくと安心です。

(5)ゲストのお見送り

最後に、披露宴に参加してくださったゲストに感謝を伝え、新郎新婦・両家の両親と共にお見送りをします。

仲人との違い

一般的に、「媒酌人」と「仲人」は似たような意味で捉えられがちですが、厳密に言うと異なる特性があります。ここでは「仲人」と「媒酌人」の違いをご紹介します。

仲人

一般的に、「仲人」は縁談から結納の進行・結婚式当日や挙式後のお付き合いまで、両家を結ぶ重要な役割がありました。しかし、恋愛結婚が主流の現在では、縁談の時点から関わることはレアケースであると言えるでしょう。仲人を立てる場合、主に「結納」と「結婚式当日」に関わることが多い印象です。

仲人の制度は、古代から存在していたと言われています。元々の仲人の意味は、村の男女を結び付けることではなく、結婚後の二人の暮らしを守り、援助することが主な役割であったようです。仲人の葬儀時には、棺を担ぐ習慣があったようで「仲人と新郎新婦は生涯の付き合いをするもの」とされていました。

しかし、次第に結婚は当事者たちの気持ちの問題だけではなく「家と家を結ぶもの」とされるように。その辺りから、仲人の存在が重視されてきたのではないかと言われています。

現代では、再び結婚に関しては当事者の意思が重要視されるようになりました。現代での仲人は、両家の社会的地位などを考慮して依頼されるケースが多いようです。

媒酌人

「媒酌人」は主に結婚式当日に関わる役目で、「頼まれ仲人」とも呼ばれています。結婚式での証人やその日一日、新郎新婦をサポートする大切な役割です。

媒酌人の結婚式当日の服装は、新郎新婦・新郎新婦の両親と同じ格のものを揃えることが多いようです。一般的な結婚式では、男性はモーニングなどの正礼装、女性は黒留袖やアフタヌーンドレス・イブニングドレスを着用するのがマナーとされています。

内輪のこぢんまりした披露宴に参加する場合、媒酌人だけが大袈裟な衣装にならないよう、事前に両家の両親と相談しておくなど配慮が必要です。

媒酌人は必要か

お見合い結婚が主流であった頃は、「お見合いを取り持った仲人が、そのまま披露宴で媒酌人の役目を引き受ける」という流れがありました。その当時は恋愛結婚であっても、体裁のために媒酌人を目上の方に依頼していたことが多かったようです。

ここでは、媒酌人を立てる場合・立てない場合の違いをご紹介します。

媒酌人を立てる場合

媒酌人を立てる場合、媒酌人が結婚式・披露宴における「新郎新婦の誘導係」のような役割を果たします。常に二人に付き添い、サポートするので、新郎新婦のことを理解してくれている目上の夫婦にお願いするのが一般的です。

媒酌人を立てる結婚式がマイナーな今、新郎新婦自らの意思で媒酌人を立てることはかなり少ない印象。媒酌人を立てている場合、両親や親戚から「結婚式では媒酌人が必要」と言われて立てるケースが多いようです。昔からのしきたりを重視する家庭では、自然な流れで媒酌人の存在が話題に出てくるのかもしれません。

媒酌人を立てない場合

媒酌人を立てない場合、司会者が新郎新婦のプロフィール紹介や、ゲストへの感謝を伝えます。

媒酌人を立てない理由としては「そもそも、媒酌人を立てる必要性を感じない」という理由が多いようです。今は自由なスタイルの結婚式も増えているので、昔の形式にこだわらない人が増えています。

媒酌人を立てると、披露宴当日だけでなく、その後もお中元・お歳暮など何かとお付き合いが続きます。お付き合いが大変で費用がかかるイメージが強いことから、「媒酌人は立てない」という選択をする方が多い印象です。

媒酌人へのお礼

媒酌人に選ばれることは、社会的に認められている証です。しかし、結婚式当日だけでなくスピーチの作成や打ち合わせなど、事前準備も必要なので何かと負担がかかる役割と言えます。忙しい中、役目を引き受けてくれた媒酌人には誠意を持ってお礼をするのがマナーです。

ここでは、媒酌人へのお礼方法や、お礼をするタイミングをご紹介します。

お礼の方法

基本的にお礼は現金で用意しましょう。媒酌人から頂くであろう結婚祝いの「1.5倍から2倍」の額を目安に準備します。

一般的に、媒酌人からの結婚祝いは、「奇数の7万円や15万円」、「キリが良い10万円」程度をお祝いとして頂くケースが多いようです。

お礼はいつ渡すべきか

お礼を渡すタイミングは、披露宴お開き後に、新郎新婦と両親が揃って媒酌人にお礼の挨拶に伺う時に渡します。その際、「本来なら、改めてお礼に伺わせて頂くところなのですが」と一言添えて渡すのがベストでしょう。

結婚式でのお礼はそれで充分ですが、新婚旅行に出かけるなら「旅行終了後1か月以内」を目安にお土産を持参し、媒酌人にお礼に伺うのがマナーです。

その後も、3年間はお中元・お歳暮の挨拶を継続するのがしきたりと言われています。受け取った媒酌人からのお返しは不要で、お礼状を送るのみで問題ありません。ある程度のタイミングがきたら、媒酌人の方から新郎新婦に「以後お気遣いは結構ですので」と断りを入れることが多いようです。

最後に

今では希少な結婚式での媒酌人。依頼された場合、非常に名誉なことです。新郎新婦との和やかな雰囲気を大切にしつつ、堂々と努めましょう。

我が子の結婚式に媒酌人を検討される場合、子どもたちと両家の両親の意見を摺り合わせておくことが肝要です。

監修/トップウエディング https://top-wedding.jp/

構成・執筆/吉川沙織(京都メディアライン)
https://kyotomedialine.com FB

 

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