取材・文/ふじのあやこ
家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。
2023年9月に厚生労働省が公表した「人口動態統計」によると、2022年の出生数は77万759人で、明治32年の人口動態調査開始以来最少となった。出生数の減少は婚姻数の減少や、人口減少など、さまざまな理由があるが、第2子を諦める夫婦が多いことも見落としてはいけない。出産育児支援サイトを運営する株式会社ベビーカレンダーでは、経産婦1162名を対象に『2人目(以降)の壁』についてのアンケート調査を実施(実施日:2023年3月10日〜3月13日、有効回答数:子どもがいる女性1162人(第2子以降妊娠中も含む)、インターネット調査)。調査では、「経済的な負担以外にも『2人目(以降)の壁』はあると思いますか?」と聞いたところ、結果は92.5%が「はい」と回答している。
今回お話を伺った未華子さん(仮名・43歳)は28歳のときに結婚して、現在は夫と子どもとの3人暮らし。未華子さんに関心のない両親と違い、義両親は結婚前から娘のように扱ってくれていた。【その1はコチラ】
結婚して、子どもを産めば、女性の役割は終わると思っていた
未華子さん夫婦は、結婚当初は子どもについては自然に任せると考えていたという。しかし、4年経っても妊娠しなかったこともあり、不安だけが大きくなっていった。そのとき、義母から「少し体を休めてみたら?」とアドバイスを受けたことにより、未華子さんは仕事を辞めている。
「当時はまだ20代で、避妊しなければ、タイミングさえ合えば子どもはできるだろうと当然のように思っていました。でも、まったく妊娠しなくて……。30代になって、もしかしたら不妊なのかもしれないと不安だけが大きくなっていきました。不安だけ、と言ったのは、不妊治療など行動は何もしていなかったから。もし検査で何かあれば、そんな現実に直面するのが怖かったんです。
そんなときに、義母からおそらく夫婦生活のことをすごく遠回しに『お互い忙しく働いているけど、夫婦の時間はちゃんと取れているの?』と聞かれて、孫のことなんだろうなと思いました。そこで子どもができないことについての不安を口にしたら、『働きすぎじゃない?』と言われて。少しゆっくりするつもりで仕事をやめました。そしたら、すぐに妊娠したんです。義母のアドバイス通りになりました」
結婚後は、同僚からの「子どもはまだ?」との問いかけがしんどかったと未華子さんは語る。
「女性って、結婚するまでは『結婚しないの?』と当然のように言われ、結婚したらしたで、次は『子どもは?』と言われ続ける。仕事を辞めたことで周囲からそのストレスを受けることがなくなり、妊娠できたのかなと。やっと周囲がイメージする女性を全うできたと思いました。もう放っておいてもらえるって。
でも、まだ終わりませんでした」
【女性はいつまでも一人前になれないのか。 次ページに続きます】