新郎新婦からスピーチを依頼されたとしたら、それは普段から二人に信頼されていて、「大切なゲスト」と認識されている証でしょう。しかし、日頃から人前でスピーチ経験が豊富な人でなければ、どんなスピーチにするべきか悩むかもしれません。

一口に「結婚式のスピーチ」と言っても、「親」としてするものから「上司」としてするものまでその内容も様々です。

どのスピーチをするにしても、インターネットで調べれば、すぐに例文がでてくる便利な時代です。しかし、ネット上の文をそのまま真似するだけでは、聞いている人たちに無難な印象を与えかねません。同じスピーチをするなら、気持ちが伝わる温かいスピーチをしたいものです。

この記事では、結婚式でのスピーチの種類や例文、スピーチを行なう際の注意点をご紹介します。

目次
披露宴のスピーチとは?
披露宴でのスピーチの種類
披露宴でのスピーチの例文
スピーチでの注意点
最後に

披露宴のスピーチとは?

結婚式の披露宴では、必ずといっていいほどスピーチが行なわれるものです。披露宴のスピーチとは、披露宴に招待されたゲストがそれぞれの場面で行なう「祝福の挨拶」のこと。

心の籠ったスピーチは、参加者を感動させ記憶に残るものです。その一方で、あっさりしたお決まりのスピーチの場合は、時間が長く感じられることもあります。

スピーチを頼まれたとしたら、新郎新婦に心から祝福の気持ちが伝わるようなスピーチをしたいものです。本記事では、披露宴のスピーチに焦点を当てて、具体的な例文や注意点をご紹介していきます。

披露宴でのスピーチの種類

定番の披露宴でのスピーチは、大まかに種類を分けるとしたら、「新郎新婦」「親」「上司」「友人」が行なうものがあります。しかし、最近では自由なスタイルの披露宴も数多く存在するので、必ずしもこの全てのスピーチが行なわれるとは限りません。

ここでは、一般的な披露宴でよく行なわれているスピーチの種類を解説していきます。

新郎新婦

新郎新婦が行なうものには二種類あり、

・ウエルカムスピーチ
・新郎謝辞

が一般的なものであると言われています。

「ウエルカムスピーチ」は、披露宴の始まりに行なわれるもの。所要時間は、「1分~2分」が目安です。

内容は、披露宴に来てくれた「ゲストへのお礼」とこれから始まる披露宴を「楽しんでください」と願いを込めて挨拶するのが一般的。従来のウエルカムスピーチは新郎だけがするのが定番でしたが、最近では新婦だけのパターンも稀に見られます。

「新郎謝辞」は、披露宴のエンディングを飾る締めのスピーチのこと。親の謝辞の後に行なわれるケースがほとんどです。ここでは、改めて披露宴に参加してくれたゲストへの感謝の気持ちと、これからの抱負などを語ります。

上司

上司のスピーチは、

・乾杯の挨拶
・主賓の祝辞

の二種類が一般的です。

過去に出席した披露宴で「乾杯の挨拶」にも関わらず、長すぎるスピーチを経験した方も多いかもしれません。だらだらとした挨拶は、ゲストから不満の声が漏れてきそうなので、注意する必要があります。全員が起立したままの乾杯挨拶は、手短にまとめるのが賢明でしょう。

乾杯挨拶は、単なる乾杯の音頭を取るためのものではありません。そこに新郎新婦との思い出話を混ぜたり、お祝いの言葉を述べるものです。

「主賓の祝辞」は、ゲストの中で最も格が高い人が行なう、お祝いの挨拶のことを指します。主賓には職場の社長や上司、学生時代の恩師などがふさわしいとされています。

披露宴のスタイルによっては、「乾杯の挨拶」と「主賓の挨拶」が一体化したパターンもあります。

友人

友人がスピーチする場合「友人代表スピーチ」が定番ですが、最近では「テーブルスピーチ」というものも存在します。

「友人代表スピーチ」とは、新郎新婦の特に親しい友人が行なうスピーチのこと。スピーチの内容は、新郎新婦の人柄がゲストにも伝わるような思い出話を盛り込むのがよいでしょう。聞いているゲストも、手紙を読む本人も感情移入しやすいよう、手紙を朗読するスタイルも人気があります。

「テーブルスピーチ」は、新郎新婦が指名したテーブルや招待客に、お祝いのメッセージをもらうスタイルのスピーチのことです。サプライズ色が強いので、いきなりスピーチをお願いされて戸惑うゲストがほとんど。事前準備ができない分、予想外のメッセージや本心が聞ける貴重なチャンスとのことで、披露宴の演出に取り入れる方も増えてきています。

披露宴での終盤に行なわれる親のスピーチは「謝辞」です。一般的に新郎の父親が行なうものですが、父親が不在の場合、「新婦側の父親」もしくは「どちらかの母」、「代理の親族」など、家庭の事情によってスピーチを行なう人物が変わることがあります。

最近の披露宴の謝辞は、主に以下の三種類のいずれかのスタイルで行なわれることが多いようです。

・新郎(と新婦)がスピーチを行なう「現代版」
・新郎の父がスピーチを行なう「伝統版」
・新郎の父から新郎の謝辞の「二本立て版」

披露宴でのスピーチの例文 

年齢を重ねてきた方が頼まれる披露宴でのスピーチと言えば、「主賓スピーチ」もしくは「親の謝辞」の二パターンに分けられることがほとんどでしょう。

ここでは、それぞれのスピーチの構成の流れや例文をご紹介します。

主賓スピーチの流れ

上司として主賓スピーチを作成する流れは、基本的に

・お祝い
・自己紹介
・思い出話
・はなむけの言葉
・結び

の順番で作成するのがスムーズです。以下に具体的なスピーチの例文をご紹介いたします。

主賓スピーチの具体的な例文

〇〇君、△△さん、この度はご結婚、誠におめでとうございます。また、両家の皆様にも心よりお祝い申し上げます。

只今、司会からご紹介にあずかりました、新郎○○君の勤務先で部長を務めておりますAと申します。本日は、このようなおめでたい場にご招待頂き、心よりお礼申し上げます。僭越(せんえつ)ではございますが、一言お祝いの言葉を述べさせて頂きますので、どうぞお座りください。

わが社に〇〇君が入社してはや10年間、当初私はチーム直属の上司として彼の姿をずっと見てまいりました。入社当時は、修行として飛び込み営業からスタートするのですが、○○君はどの新入社員よりもやる気に満ちあふれていました。

しかし、やる気だけで乗り越えられる仕事ではありません。当然、お客様から嫌な言葉を浴びせられたり、辛い想いをすることがほとんどでしょう。慣れない仕事で、先輩から叱咤されていたこともありました。

誰もがうなだれている中、○○君だけは「昨日より一件でも多く営業してから帰る」と毎日自分にノルマを課しているようでした。そして、辛さから最終的に誰もが手抜きになりがちな飛び込み営業で、成約という成果まで出してきたのです。その熱意ある姿に、ベテラン社員である私まで感動したことをつい昨日のことのように覚えています。

何ごとにも熱く、頑張りすぎるところがある〇〇君ですが、これからは△△さんという素晴らしいパートナーが彼を支えてくれると思うと、安心できます。

これからは、二人で協力して人生を熱く楽しんでくださいね。微力ながら私も応援しております。

少々長くなってしまいましたが、新郎新婦の幸せな未来をお祈りして、私からのお祝いの言葉とさせていただきます。本日は誠におめでとうございます。

親のスピーチの流れ

一般的な親の謝辞の構成は、

・自己紹介
・ゲストへのお礼
・親としての気持ち
・新郎新婦の、今後の指導とお付き合いのお願い
・結びの言葉

の流れで作成するのが自然です。以下に具体的なスピーチの例文をご紹介いたします。

親のスピーチの具体的な例文

只今ご紹介にあずかりました、新郎父の〇〇と申します。ここで両家を代表してお礼のご挨拶を申し上げたく存じます。

本日は足元の悪い中、私どもの披露宴にご参加いただき誠にありがとうございます。日頃から、子どもたちがお世話になっている皆様と、今日のように有意義な時間を過ごせましたこと感謝しております。

本日、新郎新婦の二人が皆様から頂いた温かい祝福の言葉は、本人たちはもちろん、親としても大変嬉しく、幸せなことでございます。

結婚というスタートラインに立ったばかりの、まだまだ未熟な二人ではありますが、皆様には今後もどうぞ末長くご指導のほど宜しくお願いいたします。

ご出席頂いた皆様の今後のご繁栄・ご健勝をお祈り申し上げまして、両家代表の挨拶とさせて頂きます。本日は、誠にありがとうございました。

スピーチでの注意点

一般的な披露宴では、招待客は会社関係者、高齢の親族まで年齢層も幅広いものです。多くの場合、スピーチする人とゲストは披露宴が初対面の場となります。失礼な印象を与えないためにも、マナーを守ってスピーチに臨みましょう。以下に注意点を挙げます。

・忌み言葉は避ける
・言葉遣いや口調がふさわしくない話し方
・新郎新婦の過去の失敗談
・新郎新婦の過去の恋愛話
・職場などの、一部の人しか理解できない笑いの内輪話
・順番が前後しているスピーチ構成
・長すぎたり、短すぎるスピーチ

非常識な挨拶を行なうことで、挨拶した本人だけでなく、相手側のゲストに新郎新婦の人格を疑われてしまう恐れもあります。そうならないためにも、スピーチを行なう時は注意点を意識しておきましょう。

最後に

新郎新婦にとっては、人生で一度きりの披露宴での大切なゲストからのスピーチ。どんなスピーチをしてくれるのか、楽しみにしていることでしょう。今では、たくさんの例文がネット上に溢れています。「自分らしい言葉」と「自分にしかないエピソード」でよりお祝いの気持ちが伝わるスピーチとなるための一助となりましたら、幸いです。

監修/トップウエディング https://top-wedding.jp/
構成・執筆/吉川沙織(京都メディアライン)
https://kyotomedialine.com FB

 

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