結婚するのが普通という価値観を持っていたのは私だけ

付き合う相手はできるも、結婚には至らないまま由美さんは36歳に。その数年前から結婚は無理かもしれないという思いがあったが、諦めるという心境にはまだ至っていなかったという。

「色々ありましたよ。大人になると『付き合って』と口にするものじゃないと思っていたら、実は付き合ってもくれていなかった人や、付き合ったものの仕事を辞めてバックパッカーになるって音信不通になった人とか……。付き合うときに『結婚を前提に』と付け加えるとサッと引いていった人もいました。こんなに結婚するのって難しいんだって痛感する毎日でしたよ。

でも、まだ結婚したいという思いはありました。一生一人で生きていく未来なんて想像できなかったですから」

では、諦めるという心境に至ったのは、いつ、そして何かきっかけがあったのか聞くと、「親の言葉だった」と由美さんはいう。

「あのとき、弟が離婚して、子どもは弟の元妻に引き取られて、両親は孫に会えなくなってしまったんです。離婚事由が弟にあって、それは仕方ないことでした。そんな弟のこともあって、両親とゆっくりと話す機会があり、そこで何の気なしに口にしたんです。『そんな弟よりもダメな子どもでごめんね。結婚できそうにないや』と。取り上げられた孫を私は作ってあげられないという思いからでした。そしたら、『結婚したから、子どもを作ったからいいとかはない。そんな負い目は、そんな価値観は捨てなさい』と母親から言われました。その場では必死に我慢しましたけど、部屋に戻ってから泣きましたよ。結婚することを良しとしているのは一番自分だったんだなって気づきました。それに気づけたら、結婚って本当にしたいことなのかなって考えるようになって、結婚を目指すことをやめたんです。気持ちが本当に楽になりました」

冒頭のアンケートでは、「結婚するのを諦めて後悔した」と回答した人に、結婚を諦めたことを後悔している理由を聞いたところ、男女で差が生じている。女性の回答で多かったのは「周りの目が気になる」だった。結婚は周囲に認められるものだからするものではなく、自分が望んですることが一番である。非婚化を推奨するつもりはないが、この結婚は正しいことという価値観には異論を唱えたい。

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

1 2

 

関連記事

ランキング

サライ最新号
2024年
9月号

サライ最新号

人気のキーワード

新着記事

ピックアップ

サライプレミアム倶楽部

最新記事のお知らせ、イベント、読者企画、豪華プレゼントなどへの応募情報をお届けします。

公式SNS

サライ公式SNSで最新情報を配信中!

  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • LINE

「特製サライのおせち三段重」予約開始!

小学館百貨店Online Store

通販別冊
通販別冊

心に響き長く愛せるモノだけを厳選した通販メディア

花人日和(かじんびより)

和田秀樹 最新刊

75歳からの生き方ノート

おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店
おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店