シスターフッド……女性同士の連帯が叫ばれる昨今、実際の友情をテーマにライター・沢木文がインタビューからわかったリアルを紹介する連載。今回のテーマは「SNS」だ。

総務省の『情報通信白書』(2023年度版)が発表された。それによると、休日のインターネットの平均利用時間は187分であり、テレビの182分を初めて上回った。

スマホを見続けてしまう理由として、多くの人が挙げるのはSNSだ。誰かの投稿に対して、多くの人が反応。そのコメントを見ているだけで時間を忘れるという人は多い。同白書で「年齢階層別インターネット利用の目的・用途」の項を見ると、80%近くの人がSNSに時間を費やしていることがわかる。

須賀子さん(61歳・会社員)は、「私達の世代は、慣れていないこともあり、SNSは麻薬。付き合い方を間違えると大変なことになる」と語る。彼女がそう思うのは、友人の麻子さん(61歳)がSNSにのめりこみ、不適切な使用をしたためにおかしな状況になっているからだ。

旧住民と新住民の対立で友情は深まる

須賀子さんと麻子さんは子供の小学校のママ友同士で、30年近い付き合いを続けている。

「私達が住んでいたエリアは、高級住宅街で知られているのですが、代々住んでいる人は、地元の商店や中小企業が多いんです。私は家族経営の工務店の経理をしており、麻子は食堂の若女将でした」

そのエリアは、かつては武蔵野の面影を残しており畑や田んぼもあった。しかし、バブル期前から宅地開発がされ、気が付くと似たようなデザインの戸建て住宅で埋め尽くされた。それを買う人は、都心の企業に務める会社員が多かった。

「都内で土地も高いですしね。旧住民と新住民の間には、ぼんやりとした対立はありますよ。毎日スーツで会社に通う新住民は、作業着や普段着で仕事をする旧住民を見下しているようなところがあります。それにあのおもちゃのような家だって、私たちには逆立ちしたって買えません」

かつては豊かな自然があったが、区画整理がされて住宅が増えるたびに、住み心地が悪くなった。私鉄の小さな駅は、スーツを着た通勤客であふれかえり、旧住民は圧倒的な不便を強いられた。

「また、彼らは地元の商店で買い物をしませんから、なんとなく対立は深まっていくんですよ。そういうもやもやが混ざるのは、子供の小学校でのこと。行事やPTAでは足の引っ張り合いみたいなものはありました」

新住民の保護者は、合理的な運営を推進するが、旧住民は毎週のように学校に集まる旧来の方法を重視した。

「だって、PTAって地元の親睦を深める意味がある。集まらなければ意味がないんです」

大きくもめたが、須賀子さんたちの意見が通った。それをサポートしてくれたのが麻子さんだったのだという。

「ご主人の両親が2代目で、3代目の妻としてあの家に入った。おとなしそうなのに、話すと毒舌で面白い人なんです」

【嫁はその家の召使と言わんばかりの扱いだった……次のページに続きます】

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