シスターフッド(女性同士の連帯)を描いた映画やマンガがヒットし、女性同士の友情が注目されている。しかし、現実は、うまくは行かない。これは女性の友情の詳細をライター・沢木文が取材し、紹介する連載だ。

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高齢者を狙った特殊詐欺のニュースが連日報道されているが、被害額が大きいのは投資詐欺だという。2023年4月、滋賀県警大津署は大津市の女性(66)が通信アプリLINE(ライン)を介して知り合った人物から、投資名目で現金2450万円をだまし取られたと発表。詐欺事件として捜査している。

この女性は今年1月、LINE上の投資グループを通じ、複数の男から「FX投資をするいい時期」「取引計画を立てて収益を確保する」など言われ、取引アプリ内に口座を開設。17回にわたり、指定口座に入金したが、連絡は途絶えた。

このように投資家から資金を集め、関係者が私的横領する投資詐欺は多い。多くの投資詐欺は、1910~20年代に米国で大規模な投資詐欺を実行したチャールズ・ポンジにちなみ「ポンジ・スキーム」と呼ばれている。

秀子さん(60歳)は「親友・由加里(61歳)が詐欺のような投資グループの手先になって、困っている」と語る。その経緯について伺った。

【これまでの経緯は前編で】

これまでもネットワークビジネスの勧誘をしていたが……

アイドルの追っかけで知り合い、40年以上の友人関係が続いてきた、秀子さんと親友・由加里さん。2人は由加里さんの自宅で開かれる「ランチ会」で友情をはぐくんできた。

しかし、秀子さんの話をさらに詳しく聞くと、「アートを50万円で買った」「宇宙とつながる水を20万円で買った」などの話が飛び出してくる。

「主人に会に行くのを反対されたのは、洗剤とシャンプーのサンプルをもらって帰って来たとき。いいものだからと言われてタダでもらって持って帰ると、主人が“なんだこれは、すぐに返せ”と怒鳴ってきたんです」

それは、有名なネットワークビジネスのロゴが光る商品だった。秀子さんが渋っていると、夫は手をあげた。恐怖と痛みに耐えかねて、由加里さんの住所を言ったら、すぐに車に乗って返しに行ったという。

当時、ネットワークビジネスを運営する会社は新規見込み客に最初に「お試しに使ってみて」と高価な製品をポンと渡す。人はタダでモノをもらうと何かお返しせずには居心地が悪い。これは「返報性の原理」といい、小さな貸しで大きな見返りを得る商業上の手法。

「主人は由加里に暴言を吐いたようですが、由加里は“いいのよ。あなたはえらいわ”とほめてくれた。家族のために尽くしていること、娘の勉強が終わるまで寝ずに待っていることなど、私のことをたくさん認めてくれたんです」

そして、由加里さんが、「これは私の新しいビジネス」と力を入れた商品を、秀子さんは20万円分購入する。これが夫婦の間に亀裂を走らせ、離婚への助走が始まった。その商品とは、古代米を煮出したエキスを飲み、宇宙とつながり開運するというもの。小さなプラスチック容器に液体が入っており、指定のポスターを見ながら1日3回引用する。

「由加里は自由で豊かで、いつも若々しくて友達がいっぱいいて、ホントにうらやましかった。当時の私は40代後半。由加里のようになって、人生を逆転したかったのです」

しかし、エキスを飲んでも事態は好転せず、夫と娘との仲は険悪になる一方。夫は部下の女性と恋愛が始まり、娘は大学受験に“全落ち”した。そんな事態を打破したかった秀子さんは、由加里さんが主宰する「ノートに夢を書いて実現するメソッド」に10万円の受講料を払って申し込む。藁をもすがる気持ちだったという。

「ノートメソッドを行った結果、私は離婚したいのだとわかったんです。主人には反対されると思いましたが、“わかった”と。29歳で結婚し、50歳までの約20年間は何だったんだと思いました」

【騙されているとわかりながらも、認められない……次のページに続きます】

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