シスターフッド……女性同士の連帯が叫ばれる昨今、実際の友情をテーマにライター・沢木文がインタビューからわかったリアルを紹介する連載。今回のテーマは「SNS」だ。

総務省の『情報通信白書』(2023年度版)が発表された。それによると、休日のインターネットの平均利用時間は187分であり、テレビの182分を初めて上回った。

スマホを見続けてしまう理由として、多くの人が挙げるのはSNSだ。誰かの投稿に対して、多くの人が反応。そのコメントを見ているだけで時間を忘れるという人は多い。同白書で「年齢階層別インターネット利用の目的・用途」の項を見ると、80%近くの人がSNSに時間を費やしていることがわかる。

須賀子さん(61歳・会社員)は、「私達の世代は、慣れていないこともあり、SNSは麻薬。付き合い方を間違えると大変なことになる」と語る。彼女がそう思うのは、友人の麻子さん(61歳)がSNSにのめり込むことで、おかしな状況になっているからだ。

【これまでの経緯は前編で】

コロナ禍で食堂が休業、SNSにのめり込んでいく

新興住宅地を抱える私鉄沿線の駅で、夫とその親族とともに工務店を営む須賀子さんと、家族で食堂を経営する麻子さん。2人は小中学校のPTAで出会う。ママ友同士の友情は、子供が成人しても続いた。婚家の食堂に召使のように扱われ働かされる美貌の麻子さんを、須賀子さんは妹のように思い、寄り添った。

「麻子さんが大きく変わったのは、3年前のコロナのとき。飲食店は一斉休業に追い込まれ、麻子さんの日常がぱったり止まってしまったんです」

あのとき、緊急事態宣言が出され、家の外に出ようものなら糾弾された。

「あのときに、麻子さんはSNSにハマった。数年前からTwitterで義父母や夫の悪口を垂れ流しているのは知っていました。私はFacebook派なので、麻子さんにFacebookをすすめ、そのときにつながったんです」

以降、麻子さんはFacebookを放置していた。基本的にFacebookは実名で行うので、誰かに見つかってしまうことを避けたのかもしれない。麻子さんにとってSNS=悪口を垂れ流す場だ。Facebookによくある「私はこの功績を上げました」「夫にこれを買ってもらいました」などという、成功した人の物語を見せられても違和感しかないかもしれない。

須賀子さんの投稿を見ると、これも輝いている。勤勉な息子、優しい夫と二人三脚で会社を守っていること、息子の草野球チームに稲荷寿司を100個差し入れ秒速でなくなったなど、明るくてまっすぐな働く母の理想がそこにあった。

「息子の草野球チームの若い男の子とも、Facebookで友達なんです」

息子は社員の90%が男性という施設管理会社に勤務している。草野球チームは同僚が多く、須賀子さんは「お母さん」と慕われていた。

「麻子さんがFacebookを使い始めてから、彼らの空気が変わったというか……私に遠慮をするようになったというか。息子の友達から“いいね”が来なくなった。SNSはただの画面上のやり取りではあるのですが、感情が変わったことは如実に出てきます」

【親子ほど年の離れた男性と……次のページに続きます】

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